こんにちは。竹内です。
前章では「なぜ専門店なのか?」についてシェアさせていただきました。そこで「次回はなぜ今すぐ買わないといけないのか?について書く」と予告しましたが、その前にもう一段深堀りしておいた方が良いと思える出来事がありましたので、予定変更で「なぜ専門店の通販を利用すべきか」について深掘りして、最後に「なぜ今すぐ買わないといけないか?」についてシェアさせていただきます。
なぜ専門店の通販を利用すべきか?
まず、多くの消費者が誤解しておられる「2大誤解テーマ」の再確認と、2022年ようやく表に出すべき時が来た「重要な情報」について書いていきます。
1.光沢はてりではない。
白くて、丸くて、つるっとして、表面がピカピカして、キズが少ない真珠(以降、白丸つるピカといいます)を「花珠」だと誤解しておられる方、とても多いです。白丸つるピカさんなら、安価ゾーンにもそこそこありまして、実際花珠検査で合格する(もちろんすべてが合格するわけではありません)ので、安価な花珠を購入すると限りなく100%に近い確率でそういう真珠が手に入ります。それが花珠だと信じている人にとっては「いかにも自分が思い描く花珠」を手に入れることになるので、「なんでこれが花珠?」と世間がざわつくことはありませんし、むしろ高得点のレビューが投稿されたりします。でも、本当のてりが良い真珠は「白玉の中に虹がかかる」と表現された方がいらっしゃいましたが、真珠の内側からいろんな色が現れます。表面がピカピカしていても無表情な真珠のことをてりが強いとは言いません。
2.花珠真珠が花珠真珠だとは限らない。
花珠鑑定書がついていれば花珠真珠を名乗ることに問題はないので、上で書いたような白丸つるピカさんでも鑑定書がついていれば花珠真珠を名乗ることができます。繰り返しになりますが、私たち業者にとって白丸つるピカさんを花珠と呼ぶのはとても抵抗があることで、本音では認めたくありません。真珠科学研究所が花珠だと言っているだけで私たち業者は認めたくない、そういう花珠真珠が流通の軸となっているのが今の日本です。
以上を踏まえたうえで、なぜ専門店を選ぶべきかの結論を書いていきます。一般宝飾店や百貨店販売員さんの真珠に関する知識は消費者の先輩くらいですので、白丸つるピカさんを花珠だと思っている人がたくさんいます。専門店でも消費者の誤解に乗じて、白丸つるピカさんを販売するお店もありますが、実際どうなのよ?と詰めていくと「鑑定書を発行してるのは真珠科学研究所であって自分ではない。自分が認めたわけではない。」と言い訳することになると思います。つまり専門店ならわかっているのです。消費者が失敗しないためにできることは、とにかく多くの専門店に電話して話すことです。真珠の良し悪しを見抜くのはとても難しいです。職人芸なので少し勉強したくらいでは充分と言えません。ですが、人と話して、その人と感覚が合うとか、この人なら信用できるとかそういう判断はできると思います。まず真珠を選ぶ前にご自身が一番信用できる人を選んで、次にどの商品を選ぶべきかを「あなたが選んだ人に相談する」のが良いでしょう。お店に出向いて対面で話してみるのも良いのですが、その手間と時間を考えれば、電話だとより多くの軒数をこなせますので、通販をおすすめいたします。ただし、一つだけ老婆心ながら申し上げます。もし、お仕事の都合等で電話ができずメールで問い合わせた人は、買わないと決めたお店に対しても最後にありがとうと言っていただくだけでお店側の励みになりますのでよろしくお願いいたします。中高年の人ほど忘れがちですよ。
3.連のネックレスという時点で、世間が期待する花珠真珠ではない。
これは今まで誰も語らなかった新しい情報です。解禁の時が来たということではなく、解禁せざるを得なくなったというのが正しいと思います。養殖屋さんが母貝から取り出した真珠を加工会社さんが仕入れて、加工前に行うのが「用途選別」です。用途選別とは、真珠の形やキズの位置を確認し、製品になった時の様子を想像して、ジュエリー用と連のネックレス用に選別することを言います。ジュエリー用はお尻の面から穴をあけて貫通させません。連用は穴を貫通させるのですが、穴の軸をセンターに見立て左右対称の形になることを意識します。(ただし、鑑定書時代以降は形を美しく整えることよりもキズを隠すことが優先され、キズから穴をあけることでキズを消してしまう手法が用いられていることが多いです)ジュエリー用の真珠を片穴珠(かたあなだま)といい、連用の真珠を両穴珠(りょうあなだま)といいます。それぞれ粒単位で価格を比べますと両穴珠よりも片穴珠の方が高額で、つまり片穴珠は両穴珠よりも格上の真珠だということができます。格上の真珠をジュエリーに使って、格下の真珠を連のネックレスに使うということもできます。世間の皆様が花珠真珠に期待することの柱が高品質であるなら、入口で格下扱いされた連のネックレスに花珠鑑定書がつく意味とは何でしょう?壮大なキャンペーンポップだと思うのは私だけでしょうか?私が花珠真珠店を始めるにあたって、鑑定書つきを選択したのは業界の在庫量に余裕があったからです。また、今日のような品不足がやってくることを想像できていなかったのは私が不勉強で不用心だったと思っています。在庫量に余裕があったからこそ、意味がない選り好みができました。意味がない選り好みだとしても消費者がそれを望むのであれば歩み寄る、ただし白丸つるピカさんには手を出さず、消費者がそこを気にしなくても花珠真珠店で購入すればきちんと価格なりに選ばれた真珠が届くことを厳守していれば消費者も弊店もハッピーだと考えていました。ところが今、2022年真珠業界の在庫量は底をつきまして、意味がない選り好みは本当に無意味でもったいない時代になりました。仮にザルに1万粒の真珠が入っていて、その中から50粒使ってネックレスを1本組みなさいという課題がでたとしましょう。真珠科学研究所の好みに合わせて組むのは問題ありません。なんなら1本と言わず組めるところまで組めばいいとすら思えます。が、ザルに100粒しかなかったらいかがですか?物理的には2本組めますが、真珠科学研究所の好みに合わせるなら0本、仮の話なので1本できたとしても、組み残りが50粒出ることになります。もしあなたが店主だったら、ザルに100粒しかないときにどういう販売方法を取ることが消費者と自分、双方の利益になると思われますでしょうか。花珠真珠ネックレスを一本作るたび、相当な個数の組み残りが出て、組み残りの珠は不当に安くしないと消費者の興味が引けないなら、この一本にたっぷりの付加価値を乗せて販売しないとお店やっていけなくなると思いますが、いかがでしょうか? 私が「ミキモトを買う気はなく、今すぐ必要でない人は年単位で待った方がいい」と書いたのはそういうことです。そして、今年からは鑑定書がつかない(花珠ではない)ネックレスも積極的に狙っていきましょう。もしあなたが偽物を掴まされないために鑑定書が欲しいというお考えであれば、それは花珠鑑定書でなくても「本物の真珠であることを証明する鑑別書」という別の選択肢もありますので、販売店に相談してみることをおすすめいたします。
なぜ今すぐ買わないといけないのか?
今の真珠の品不足は2019年の稚貝大量死から始まったもので、私たち日本人が噂に踊らされてトイレットペーパーやティシューを買い占めに走ったのとまったく同じ状況が今起こっています。いよいよ底をついてきたことを知った中国マーケットが爆買いに走ったことで行きつくところに行ってしまいました。また、彼らは実物を見ずにネット上での画像確認だけでごっそり買っていくので私たち国内販売業者が仕入のための商品確認をするタイミングすらありません。中国の爆買いはまだ止まりそうにありません。私たち日本人もマスク不足のときに、好みとか値段とか言ってられない、とにかく見つけたら買う!ってやってましたよね。そういう感じです。よって私たち国内業者は、自社在庫を完売してしまうと次の仕入が困難な状況です。売切れた後、買うから用意してくださいと発注してもごめんなさいといわれるか、あきらめていただくための法外な額を要求されるか、信用ならない品を掴まされるか、いいことはひとつもありませんので、私たち国内業者に在庫があるうちに購入していただくのが絶対によいです。後回しにするなら年単位で。そして、その場合は相場が今よりずっとあがっていることを想定しておいてください。
第5章は以上となります。次回はミキモトについて私が書ける範囲のことを書いてみます。ちなみに、私はミキモトリスペクト派です。よろしくお願いいたします。
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