真珠の巻きとは?

ここで説明していること

・巻きは厚みよりも質の方がはるかに重要。
・鑑定書に記載された巻き厚はどこをどう計測しているのか。

ご興味をお持ちいただけましたら、以下へ読み進めてください。




1.はじめに

真珠のまきについて知っていただくためには、真珠の構造をご理解いただくことをオススメします。
ですが、内容がとてもマニアックになりますので、まずは当店が考える「まきのポイント」を書かせていただきますね♪

最初に知っていただきたいのは、「まきは厚みよりも質の方がはるかに重要」ということです。

真珠層(まき)は真珠の本質ですので、厚く巻いているほうが良いと当店は考えます。ただ、どれだけ厚く巻いているかというのは、数ある「まき」の評価項目の中のひとつでしかないので、鑑定書に記載された「まき厚測定値」に着目してお品選びをすることはオススメできません。


2.「まき」が真珠の本質とは?

真珠は大雑把に「真珠層」と「核」からできてるものとしてお話させていただきます。
「真珠のまき」とは「真珠層」のことをさしていて、「核」とは「真珠層」を形成させるための「型」ということができます。そして、真珠の評価を行う際に「核」という項目はございませんので、真珠の良し悪しは「真珠層」で評価されていることになります。
よって、真珠の本質は「真珠層(まき)」にあるといっても良いと思います。


3.鑑定書に記載されている「まき厚」の解釈の仕方について

これは核の上にどれだけの厚みで「真珠層」が被さっているかをレントゲン測定した値です。
この数値は1点における測定結果で、反対側(裏側)にもほぼ同じ厚みの真珠層があるとお考えください。
真珠のサイズを語るときは「直径ベース」、まき厚測定値を語るときは「半径ベース」ということですね。
図にしますと、こういうことです。

|まき厚|←−−−−−−−核−−−−−−−→|まき厚|
←−−−−−−−−−− 真珠のサイズ −−−−−−−−−→

ここで一番重要なのは、鑑定書記載の数値は「真珠層の厚み」を示しているに過ぎないということです。
例えるなら、レンガの壁の「高さ」を測定した数値になります。
この壁が、どれだけ良い素材で作られているか、またどれだけの精度で積み上げられ、どれだけ丈夫にできているかについては、この数値からは読み取ることはできません。同様に、まき厚測定値から真珠層の質を読み取ることはできません。


4.「まき厚」の測定値が大きいほど真珠はキレイなの?

真珠科学研究所の花珠検査の合格ラインは「0.4mm」ですので、花珠の場合は最低でも 0.4mm は巻いていることになります。
では、0.4mm と 0.8mm とを比較した場合に、常に 0.8mm がきれいか? 答えは「NO」です。
真珠のテリは真珠自体が発するものではなく、光を受けて、その光が真珠層内で屈折し、干渉を起こして現れるものです。
光をより多く、より深い層まで取り入れ、また層内で反射した光がしっかりと表面まで戻ってくる、その過程でのロスが少ないものほど強いテリが現れます。
身近でイメージしやすい例を挙げますと…
セロテープを真珠層 0.1mm だと仮定します。0.4mm は4枚重ね、0.8mm は8枚重ねだとイメージしてください。
重ねたセロテープを透かせて、向こう側の景色が見えやすいのはどちらでしょうか?
0.4mm ですね。
0.8mm(8枚重ね)で同じだけの透明度を得るためには、0.4mm(4枚重ね)で使用したセロテープの2倍の透明度のものが必要になります。
単に「まきが厚い」ということと、「まきが厚くてキレイ」ということは次元の違う話だということがおわかりいただけましたでしょうか?
更に、今度は真珠で例を挙げてみます。
淡水真珠など核を持たない無核真珠の場合、全身が真珠層でできています。 5.0mm の無核真珠のまき厚測定値は 2.5mm です。10mm の無核真珠のまき厚測定値は 5mm です。 10mm の無核真珠は、すべてがどの 5mm の無核真珠よりもキレイか? 答えは言うまでもなく「NO」ですよね。


5.「まき」と背中合わせのもの

真珠の価値評価でマイナスとなるものには「キズ」、「形の歪み」と「表面の荒れ」がございます。
実は、これらは真珠層が成長していく過程でできてしまうものですから、単に発生率で考えますと「まきが薄いもの」より「まきが厚いもの」のほうが、起こりやすいのです。
上で真珠層の透明度の高さの重要性についてお話しましたが、透明度とは別の世界でこういったリスクも伴っているのです。
安価な割に丸くてキズが少ない真珠は、「薄巻き」といわれるまき厚が0.25mm以下のものであることが多いので、そういった品をお選びの際にはアクセサリー感覚、おためし感覚といった製品への理解が必要かもしれません。


5.ネックレスの「まき厚測定値」は参考値とお考えください

真珠一粒で完成されるペンダントや指輪などのジュエリーの場合、鑑定書に記載される数値は、その真珠そのものを測定した結果ですから、充分な信憑性があるといえます。
一般的な片側一粒のイヤリング、ピアスの場合は、両方の数値を測定し、平均値が記載されています。極端な例になりますが、片側の粒が 0.8mm、もう片側が 0.4mm の場合、記載される数値は 0.6mm です。どちらも等しく 0.6mm 巻いているという意味ではありません。
ネックレスの場合の測定方法ですが、センター周辺 10〜15cm 程度をレントゲン撮影し、核と真珠層の境目がくっきりと写った粒3粒の値を測定、その平均値を記載しています。
たまたま測りやすく写った粒を選んだ結果でしかないので、当店では、ネックレスの数値に関しては参考値程度に参照していただくことをオススメしています。 0.8mm と記載されていても、ネックレス数十粒の中には、0.4mm が含まれていても不思議ではないのです。


6.まとめ

結局、真珠の値段は総合的に判断したバランスの上に成り立つものですので、あれもこれも優秀なものを選ぶと金額が上がりますし、決まった金額の中でどこかにこだわれば、どこかを我慢しなければなりません。
例えば、決まった予算で色テリがよく、まきが厚いものという想定で商品を選ぶとき、その代償としてセミラウンドと面の荒れをある程度許容するようにして、さらにその面の荒れがなるべく気にならないように透明度が高いものを選ぶといったテクニックはございます。
そういったお客様のご希望や、商品のチャームポイントを活かす上でのバランス感覚は、お店や販売員によってそれぞれだと思いますので、鑑定書の数値に目がいってしまうお気持ちも充分理解できるつもりですが、その前にお店選びからと視点を変えていただくだけで、悩みがあっさり解決されることもあると思いますよ。