2022年 真珠の買い方が大きく変わります。

ここで説明していること
・本テーマは連のネックレスについて説明しています。
・真珠産業は新時代に突入しました。
・真珠は専門店で買いましょう。
・通販を賢く利用しましょう。
ご興味をお持ちいただけましたら、以下へ読み進めてください。

1.現状の再確認から

弊店では2019年12月に「日本の真珠はどうなるのか!?」アコヤガイの稚貝大量死問題について取り上げ、その後数年間の見通しについて発信しました。初めてご来店くださったお客様には、是非一度目を通していただきたいと思いますが、簡単におさらいをしますと…

・2021年の養殖現場で使用されるはずだった母貝がほぼ全滅した。
・2022年以降劇的に真珠の流通量が減る。
・稚貝へい死の原因がわからず、対策もできないことから、いつ収束するのかわからない。
ということでした。

そして、心配していた2022年がやってきたわけですが、2年前に想像していた状況よりも国内業者の現実はずっと悪いです。


2.結論を先にお伝えします。

本テーマの対象はパールジュエリーではなく、連のパールネックレスについてです。連のパールネックレスには実用品としての側面もありますので、真珠製品の購入経験がない方や、真珠にあまり興味のない方でも購入の機会がある製品ですね。情報収集をたくさんしてからご購入いただくほうが良いと思いますが、こちらでは私どもの考えをシェアさせていただきます。

まずは結論から

1)ミキモトを買う気がある方:ミキモト一択(ただしイレギュラーサイズと中古品には手を出さない)
2)ミキモトを買う気はなく、今どうしても必要ではない方:供給量が安定するまで年単位で待つ
3)ミキモトを買う気はなく、今どうしても必要な方:専門店の通販で今すぐに動く

結論1の方々に向けて

真珠不足はミキモトでも同じことのため、対策として(だと思いますが)イレギュラーサイズのネックレスを販売しておられます。連のパールネックレスのレギュラーサイズとは、8-8.5mm、8.5-9mmのように、最大粒サイズと最小粒サイズの差が0.5mm以内で組まれたものです。そうでないものはすべてイレギュラーです。私がミキモト一択と書いたのは、あくまでもレギュラーサイズを買う気がある方という意味ですので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。また、ご自分の審美眼に自信がない方は絶対に中古品は検討なさらないでください。

結論2の方々に向けて

人生設計の中で真珠の優先順位がミキモトのレギュラーサイズを買うほどには高くない方々は、「今、無理に買う必要はない」と思います。いつになるかはわかりませんが、また本当にそんな日が来るのかもわかりませんが、供給量が安定するまで待ちましょう。ただ、ご留意いただきたい点は、供給量が安定したときの相場が恐らくは今よりもずっと高騰しているだろうということです。

結論3の方々に向けて

連のパールネックレスにはマナーとしての実用品の側面もあり、「今、買わなくちゃいけない」方々がいらっしゃいます。この方々には、「真珠専門店の通販を利用して、一日でも早くご購入いただきたい」です。今の状況下で、実物を見に外へ出るのは危険ですので、ぜひ通販を利用してください。

ネット通販を覗いていただくと、花珠鑑定書と耳飾りがセットになったネックレスが販売されていて、安価な商品もあります。多くの方は「鑑定書がついていれば安心だ。その中でなるべく安いものの方が良い。」と考えると思いますが、今、最悪の買い方は「花珠鑑定書を過信してお店選びよりも鑑定書と価格重視で選んでしまうこと」です。


3.なぜ専門店の通販を利用すべきか?

なぜ専門店か?

「真珠そのものの価値をきちんとはかれる業者から購入すべき」が答えです。

「花珠鑑定書つきでなるべく安いものを望む」この消費者行動から、それを用意すれば売れると販売店が考えるのは当然のことですね。需要のあるものを売るという最も単純で簡単な手法のため、この方向に進む業者は多く、真珠の個性、品質、見合った価格などを吟味するより、売れやすい状態にパッケージされた、それでいて安い商品を仕入れたがります。

そして、そういう商品を承知のうえで販売する者もいれば、からくりを知らずに「売れる商品=良い商品」だと信じて販売する者もいます。専門店は前者にあたり、専門ではない販売店の多くは後者にあたります。

決して褒められることではありませんが、安価な花珠を販売する専門店は、安価なもの(低品質なもの)だということを承知のうえで販売しています。承知のうえだと言い切れる理由は、自分たちが安価な品を選んで仕入れているからです。専門店ですから当然真珠の相場観を持っていて、そのうえで楽に売れるから好んで仕入れているわけです。商売にモラルは必要だと思いますが、「良い品を売りたい=正義、売れる品を売りたい=悪」と決めつけることは両者に需要がある限りできません。チョイスはあくまで消費者側にあります。

では専門店を選ぶ意味って何?と思われるかもしれません。重要なのは「わかってやっている」ということです。わからずにやっている人に相談や質問を投げたところで、正しい答えは得られませんが、わかってやっている人に対しては、消費者の出方次第で本音を引き出すことができます。

その方法の例ですが、なるべく多くの専門店に電話をかけて「価格と品質のバランスが一番良い、永く安心して使えるものっていくらくらいですか?」と訊いてみてください。できれば、鑑定書つきの場合と鑑定書なしの場合、両方訊いてみると、鑑定書つきを選ぶことで支払わされる付加価値料の大きさに驚かれることと思います。電話の結果、一番多く聞かれた価格帯が実際のところ(妥当な価格)だといえます。それよりも安い商品がどれだけ良いように説明されていたとしてもセールストークだと理解してください。問い合わせは電話を推奨します。メールはかえって店舗の負担になりますし(30万くらいですかねの一言で済ませるわけにはいかないから)、電話の方が店員さんのひととなりが垣間見えたりして店舗選びの参考になるからです。また、いきなり店頭に出向くのも良くありません。店員さんは売りたい品をプッシュするモードで売り場に立っているので、正確な情報は得られません。

ご自身の予算が調査結果よりも下だった場合、方法は二つあります。機会をあらためて予算を上げるか、目星をつけた商品のマイナスポイントを納得いくまで説明してもらうかです。「実際に見てもらうのが確実なので見に来てください」という誘いにのってはいけません。来ていただけるとなったら、店は売りたい品をプッシュするためのシナリオを何通りも持っているので、この店で買うという決心がつかないうちは出向くべきではありません。

なぜ通販か?

「お金と時間を有効に使っていただきたいから」が答えです。

少なくとも今後数年は真珠を探しに街に出ることは無意味になります。理由は量がないからに尽きます。量があるからこそ、街に出れば出会いもあるわけで、わかりやすく数字で説明すると、量があったころ半径5km以内で200本のネックレスが存在していたものが、量が10分の1になると200本の存在範囲は半径50kmに拡がります。そんななか出掛けても「今日は出会えなかった」「また今日も出会えなかった」を繰り返し、費やした時間と交通費が膨れ上がり、なにより疲れてしまって冷静な判断ができなくなります。

私が社会人になったころは、取引先に「ファックスを送りました」と電話するのは普通で、先輩からはそこまでやるのが丁寧な仕事だと教えられました。でも、今はどうでしょう?時代は変わります。今は真珠ネックレスは通販で買う時代になってしまっているので、その流れにあらがうより上手く利用した方が良いと思いますがいかがでしょうか。

上手な通販の利用の仕方はたくさん電話をすることです。ネット通販だからといってネットで完結しないといけない決まりはありません。あなたが見ている画面の向こうには人がいて、注文や問い合わせを待っています。ぼーっと待っているより接客している方が販売員にも良いことなので、遠慮なく何度でも電話すれば良いのです。話すことで販売店の雰囲気を察することができますし、あなたが真珠に詳しくなくても、話す相手(販売員)が信用できる人かどうか、自分に合うか合わないかの判断はできると思います。最終的にご自身が「この人が一番信用できる」と思える人に相談して、自分の要望に合う品を用意してもらうのが今の時代のもっとも賢く、失敗しない真珠選びです。

ご参考までに弊店では携帯電話番号を公開しておりますが、これは外出時にもつながりやすいこと、かけ放題プランを利用してしっかり説明させていただくことを目的としております。


4.連のネックレスに花珠鑑定書は不要

弊店ではこれまでほとんどの連のネックレスに真珠科学研究所発行の鑑定書を添付し、販売してまいりましたが、完全に時代が変わりましたので、今後しばらくの間、少なくとも生産量が戻り、供給が安定するまでは、連のネックレスに関して積極的に鑑定書の添付をするのはやめることといたしました。もちろんお客様のご要望に応じた商品手配が大前提となりますが、鑑定書のありかたをお客様と共に模索していきたいと考えています。どちらかといえば推奨派だった弊店がこの結論に至った理由をシェアいたしますので、連のネックレス選びの参考にしてください。

さて、消費者の皆様は花珠真珠に何を期待されますか?
おそらく、ほとんどの方が最高品質と答えるのではないでしょうか。弊店では「消費者はそう望んでいる」と定義して慎重に商品を選び、販売してまいりましたが、実際には「そもそもの無理」がありました。

母貝から取り出した真珠を加工業者さんが買い付け、最初に行うのが用途選別です。ざっくり言うとジュエリー用素材と連のネックレス用素材に振り分ける作業です。この時点で両者を比較すると、ジュエリー用素材が格上、連のネックレス用素材が格下となります。わかりやすいようにあえて乱暴な言い方をしますが、ジュエリー用として使えない真珠を連のネックレスに使うわけです。

例えば、ピアスと連のネックレスの価格を考えていただければわかりやすいですが、20万円のネックレスに合わせるピアスが5万円ということは普通にあります。あえて金具原価を無視して話を進めますが、20万円のネックレスに使われている真珠の数は50個で1個当たり4000円、ピアスは25000円です。これが、先に述べた「そもそもの無理」なのですが、格下扱いの真珠を最高品質と謳うことに無理はありませんでしょうか。本来三角形の頂点付近を指して「これが花珠です」というなら、まずジュエリー用の真珠に限定され、その中でもより高品質で美しいものであるべきです。

これまで誰も口にしなかったことですが、事実です。弊店でもそれを口外したところで誰もハッピーになれないので、言わずにきました。だからこそきちんと商品を選んできました。が、時代は変わりました。

ペンダント、耳飾り、リング、ブローチといったジュエリー、アクセサリーには基本的にジュエリー用の真珠が使われていて、花珠鑑定書を取得する場合、実際にその真珠そのものが検査され、鑑定書に実測データが記載されることから、弊店では充分に意味があることとして今後も取り扱ってまいります。

ですが、連のネックレスにおいては、すべての真珠を粒単位で検査しているわけではありません。50個集まって一つの製品という見方で扱われますので、50個の中には単独では不合格になる粒がいくらか含まれています。サイズ表記についても実測(8.01mm-8.48mmなど個別に計測した数値)ではなく、8-8.5mmといったカテゴリ表記のようなものになっています。巻き厚測定はネックレスのセンター付近数粒の平均値です。このようにざっくりしたものを添付するために高額な付加価値料をお支払いいただくことに私は疑問を感じ始めております。

鑑定書が安く簡単に取得できるものであれば、不要だと断言するまでもないのですが、全体的に品質が落ちているなかで価格が高騰していて(高騰の理由は品不足)、この状況で花珠検査を通すためにかかる手間と時間と実費を考えると、鑑定書つき製品の割高感はとても大きくならざるを得ません。

見た目がほとんど変わらないネックレスが2本あって、1本は鑑定書なしで25万円、もう1本は鑑定書つきで35万円、どちらにも同じようにエクボが散見でき、美しさに違いはありません。そこで「この10万円の差は何?」とお客様から訊かれたときに、説明はできますが、ご納得いただけるかは疑問です。弊店では、この場合の10万円の差額は不当に高額だと考えていて、かといって安くもできないので、以前のように差額が妥当と考えられる状況が来るまで、連のネックレスに鑑定書を添付する意味をお客様に伝えていくべきだと考えています。

ご質問はいつでも承りますので、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。可能な限り電話をご利用いただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。


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