こんにちは。竹内です。
アクセスありがとうございます。この記事は2023年1月にアップしたものです。最新情報をお探しの方は以下ご参照くださいませ。
①真珠製品の価格推移|2023年の振り返りと2024年の予想
②2024年、これを知っておけば真珠選びはうまくいく!
③10~15万円でパールネックレスと耳飾りのセットをお探しの方へ。必ずこれ読んでね!
高騰の根本的な部分に興味がある方はこの記事をご参照ください。
近年、真珠の価格は上がり続けていて、さらに、早ければ今春、遅くとも秋には(加工会社によって今年の真珠の流通開始タイミングが違うため)歴史的にも稀な値上げが見込まれています。
生活に身近な品々が値上げラッシュの中、「真珠、お前もか!?」と思われるかもしれませんが、実は真珠の値上げ要因は他と少し違います。ここでは真珠価格高騰の背景を整理して、消費者の皆様がそれぞれにご自分なりの考えをまとめていただく参考になればと思います。
近年、真珠価格が上昇し続けている理由はふたつです。
1.需給バランスの偏りが大きすぎる
2.生産量のほとんどを中国が買っている
簡単に説明すると、少量しかないものを業者全員が自社存続をかけて取り合う戦いがあり、仕入額の上昇によって販売価格が高騰しても中国がごっそり買い上げるので、歴史的にも例がないほどの値上げ幅で価格が更新され続けているわけです。
需給バランスの偏りが大きくなったきっかけはこちらをご参照ください。
・アコヤガイ稚貝の大量死問題について
私がお伝えしたいことの結論を先に書いてしまいますと、今後真珠が必要になる方は「今すぐ動いてください」ということです。弊店では2019年12月以降何度もお伝えしていますが、「まだいいや」というお気持ちが結果として何万円、何十万円もの負担増としてご自身に返ってくること、にもかかわらず手に入る品質が低下していくことを強く意識していただきたいと思います。
ものの値段が上がって、売れ行き好調。一見、業界としては好景気の循環が出来上がっているように見えますが、抱えている問題は深刻です。
ここからは話が難しくなりますので、ご興味のある方だけ読み進めてみてください。
養殖業者さん目線
単価は高騰しているものの量がないので収入が増えているとは言えません。算数で示すとこうなります。
量がまだ足りてた時代:単価10 x 個数100 = 収入1,000
量が完全に足りない今:単価100 x 個数10 = 収入1,000
そして、この1,000という数字は平成初期と比較して圧倒的に小さなものになっていて、決して子供に事業を継がせたいと思えるものではなく、むしろ苦労を背負わせたくないと考えるレベルです。引き続き母貝がない状況なので仕事にならないし、今年の単価の高騰を自分の花道ととらえ、引退を考えている人が多数いらっしゃると聞きます。
加工業者さん目線
長年にわたり課題となっていた「長期売れ残り在庫」が、去年ほとんどの加工業者で解消されました。つまり、現在はどこも在庫がほぼゼロの状態です。今後の事業継続のためには、それぞれが高価でも自社に見合った原料を調達しなければなりません。全社が同じ考え方を持っているため、入札が競争激化し、仕入れ価格が高騰しています。高い価格での仕入れのため、安く売ることができず、今年も中国市場に期待するしかありません。地政学的なリスクが高まらない限り、おそらく中国市場による先導が続くと思いますが、少なくとも日本市場には目を向けていないように私は感じています。
国内小売業者さん目線
人気のある8-8.5mmのネックレスと耳飾りのセットが最低30万円から、オーロラ花珠は最低50万円からとなり、しかも最低価格では品質的に充分とは言えない状況です。このような相場の中で、これまでのように多くのお客様に真珠を提供することができるのか、という大きな課題が目の前に立ちはだかっています。個人的には、相当に難しい状況になると考えており、根性論だけでは乗り越えられないような状況にあり、事業計画を一から見直さなければならないと思っています。同業者の中には、販売を止めてメンテナンス専門店への転換を検討している方もいると聞いています。
<2023年4月現在> 先述の例である「30万円から、50万円から」という価格については、既に突破してしまっています。これらの価格で提供できる商品は存在しますが、品質面で何らかの問題があるようです。特に8-8.5mmの真珠は他のサイズに比べて大きな価格上昇が見られており、必ずしも8-8.5mmである必要がない場合は、他のサイズにも目を向けていただくことをお勧めします。 |
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さて、いかがでしたでしょうか。真珠価格の高騰の要因がコロナやウクライナ情勢ではないことがご理解いただけたかと思います。今後、国際情勢が安定しても価格が戻ることはありませんし、生産量も増える見込みがありませんので、真珠を購入する人が世界のどこかにいる限り、価格は上がり続けるしかありません。そして、日本では価格の問題以前に、デパートなどの売場から真珠が姿を消してしまい、目にする機会がなくなるかもしれません。まずは中国マーケットの動向を注視しつつ、母貝が安定的に供給される日を待ち、弊店なりにできることを模索していこうと思います。
「そもそもなんで生産量が少ないの?」と思われた方は、こちらをご確認ください。 →アコヤガイ 稚貝の大量死問題について |
稚貝の大量死問題についての最新情報をこちらにアップしました。 →アコヤガイ稚貝の大量死問題について<その後> |
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