2023年 花珠鑑定書について再確認しましょう

本コンテンツの趣旨
今(2023年6月下旬)、花珠鑑定書つきフォーマルセット(連のネックレスと耳飾りのセット)を買うと、もれなく大きな「もったいない」がついてきます。創業以来花珠鑑定書推奨派の弊店が「今は一旦違う」と思う理由をお伝えしたい!ご購入はこれを知っていただいてからでも良いと思いますので、まずは花珠真珠と花珠鑑定書を知ることから始めてみませんか?

1.そもそも花珠真珠の意味はご存知ですか?

花珠真珠とは「キャンペーンの名称」です。物質的には「花珠鑑定書が付属したアコヤ真珠製品」を指しますが、「花珠真珠って何?」という問いに対しての正解は「キャンペーンの名称」になります。最高品質の真珠だと思っていた方も、現在検討中の段階であればまだ間に合いますから、一緒に学んでいきましょう!

余談:昔から養殖業者さんが言っていたハナダマのハナは花ではありません。ハナダマの対義語はドウダマであることから、ハナは鼻先を指して特品を意味し、ドウは胴を指してその他大半を意味するといわれています。ハナダマのイメージを利用しつつ、これを花珠と当て字表現することから花珠真珠キャンペーンが始まりました。

余談:今となっては花珠真珠キャンペーンの仕掛人はわかりません。私にとって最初の認知機会は、ある卸商の方が花珠真珠キャンペーンの構想をもっているという噂を耳にしたときでした。その方の働きかけで花珠鑑定書が生まれたのか、その方とは関係なく各研究所で構想が同時進行していたのかはわかりません。ただ、皆がそれぞれに動いていたとしたら、全員がほぼ同時期に「花珠真珠」というタイトルを思いつくのは不自然(花珠は当て字)ですから、発起人はいたはずと私は考えています。通販や知識のない販売員さんでも販売しやすくなり、消費者の一つの選定基準(発起人の自社製品が選ばれる理由)になり得るのではないかと考えたのがきっかけと聞いています。

2.花珠真珠のざっくり近代史|ネット時代

2000年頃 某加工会社に勤めていた私は、真珠科学研究所と真珠総合研究所について社名と代表者の名前を耳にすることがある程度でした。加工会社のほとんどは反対派でした。自社製品を欠席裁判されて、合格だ不合格だと勝手に言われることに嫌悪感を持っておりました。

2005年頃 楽天市場を発端として、ネット通販で花珠鑑定書つき真珠製品が売れ始めました。世間が認知し始めたということだと理解しています。壮大な花珠真珠キャンペーンが始まったことに気づいた業者から順にネット進出を始めました。このころから加工会社が直で真珠科学研究所、真珠総合研究所に鑑定書発行依頼をして、鑑定書がついた状態で取引先(卸商や専門小売店)に卸しはじめました。加工会社の心中を察するに、鑑定書つきにすることで少々ましな値段で売れるから仕方なくやっているといったところ。販売店にとって花珠鑑定書つき製品の入手が簡単になったことからますます流通量が増え、花珠真珠キャンペーンは加速度的成長期に突入しました。

2010年頃 「花珠真珠と認める」と明言した鑑定書と、「花珠真珠の範疇にある」と記載した鑑定書があり、どっちが上か?というくだらない問題がざわざわする中で、真珠科学研究所が「オーロラ花珠」をリリースして一歩前へ。オーロラ画像は鑑定書と実物のすり替え問題を解決に導けるか?が注目ポイントでしたが、販売店各社は「真珠科学研究所のオーロラ花珠が最上で、真珠総合研究所の花珠はその下」だと主張し始めました。ざわざわ問題継続。

余談:業者内の印象として、真珠科学研究所よりも真珠総合研究所の方が取得しやすいと言われていたことから、その情報が消費者の耳に届く段階で格上、格下となってしまった可能性があると考えています。

2015年頃 見たことのない鑑定書が多数登場。これにより、百貨店等の「世間からは良品を販売していると思われている販売店」は、メジャー鑑定書とマイナー鑑定書の違いを説明し、安ものは安ものだと胸を張るべきだったと思いますが、有名百貨店さえもマイナー鑑定書を採用したことで、ネット上の花珠真珠キャンペーンはますます荒れました。具体例としては、花珠真珠が1円スタートのオークションで出品されるようになりました。震災後の不安定な時期だったことも一因としてあると思います。また、オーロラ天女が正式にリリースされ、オーロラ天女最強説を唱える販売店が続出しました。ざわざわ問題継続。

2020年頃 アコヤガイ稚貝大量死問題から始まった真珠生産量超激減時代に突入。しかし、花珠真珠キャンペーンは特に中国で根強い人気が継続中。真珠製品の価格も中国向け基準で設定されるようになりました。

3.花珠真珠と花珠鑑定書の関係

花珠真珠は「キャンペーンの名称」で、花珠鑑定書は「花珠真珠キャンペーンで使われるツール」です。花珠鑑定書がついていれば花珠真珠を名乗ることができますが、ハナダマだから花珠鑑定書がついているわけではありません。花珠真珠キャンペーン対象商品には花珠鑑定書が添付されていると考えるのが正しいです。

余談:花珠鑑定書は高品質な真珠製品に自動的に添付されるものではなく、販売店が方向性に応じて「売るために活用している」ものです。高品質だから付属しているものだと信じて疑わなかった方には、真っ向から否定された感じでざわざわしておられるかもしれまん。しかし、真珠は母貝から裸一粒で生まれてくるわけで、鑑定書を背負って生まれてくるわけではありません。流通過程のどこかでキャンペーン対象商品に振り分けられて添付されています。問題は、商売だから売れてなんぼという基本中の基本に販売店がどう向き合うかということです。安いものを安く売る店があって悪いはずがないのですが、安い品にも花珠鑑定書がつく現実があって、これを見た消費者が「高品質の花珠真珠が安く買える」と誤解してしまうところに私たち業者の課題があるのだと思います。私には課題解決に向けて業界をまとめ上げていけるような器量はありませんので、こうしてしつこく訴えていくしかないと思っております。

4.消費者がきづくはずのないこと

A)花珠鑑定書はその品が最も輝いていたほんの一瞬を切り取った、青春の思い出写真のようなもの
花珠鑑定書の裏面にはこう記載されています。そのまま書き写すと長くなるので要約します。「鑑定書に記載されている分析結果、鑑別結果は、検査時点における評価であり、検査後にはその時の状態により異なる結果が出る場合がある」、また、別の章でも「品質の変化等が生じている場合は鑑定書の効力はないものとする」と書かれています。同じような意味あいのことを二度も書くほど、「検査後の状態には責任持ちません」というポリシーを明確にしたい証ではないでしょうか。手順としては、検査をしたあと、鑑定書発行となりますから、厳密にいえば鑑定書を発行している時点ですら「責任持ちません」のタイムゾーンにあります。

B)花珠鑑定書を紛失したらその時点で花珠を名乗ることはできない
実物と鑑定書が揃っていて、また両者が合致しての花珠真珠です。何度も言いますがキャンペーンですからそうなります。鑑定書がないと花珠真珠を名乗ることはできなくなり、鑑定書を取りなおそうとしても簡単にはOKがでない品が流通の大半を占めていると個人的に思っています。私が安価な品に花珠鑑定書を添付するのは無意味だと考えている理由のひとつです。

C)花珠鑑定書と実物が合致しない問題は今のところ解決できない
悪意を持って鑑定書と実物がすり替えられる事例は残念ながらございます。それは論外ですが、現実的に悪意なくミスによってすり替わってしまうことがあります。実際に、鑑定書の写真のネックレス粒数と実物の粒数が合ってないケースを私は何度も目撃しています。商品の棚卸等で「あれ?どっちがどっちだっけ?」となった場合に、すべての業者が真珠科学研究所に持ち込んでオーロラ確認をすることもないと思いますので、今の仕組みではすり替えは解決できない問題です。ただし、安価な品ほど特徴がなく判断が難しくなる側面があるのと、量販店のほうがミスが起こる場面が多いのは事実ですから、消費者がこの現状を知ることですり替わりの可能性が低い方を選択することはできると思います。

5.花珠真珠製品の値段がピンキリの理由

世間の真珠製品への興味の低下を危惧した業者が、打開策のひとつとして発信したのが花珠真珠です。最高品質を証明しようという意図で始まったものではなく、真珠製品を売っていくためのキャンペーンとそのツールとして花珠鑑定書が生まれました。あくまでも業者が売るための施策として始めたもので、真珠の価値と品質の透明化を目指すことが目的ではありませんでした。だからこそ、いまだに業界全体で共有されている基準がありません。鑑定書発行会社それぞれに独自の基準があるとはいえ、真珠業者の価格評価とは別の軸で見ているところがあり、真珠業者的に安価な品でも鑑定書発行会社的にはOK(積極的OKではなくNGの理由がない場合が多い)という見解の相違があり、値段がピンキリになる現実があります。

業界基準がはっきりしていれば、発行会社の違いによる品質の誤差はとても小さなものになり、価格も一定の範囲内に収まるはずです。それでこそ消費者の安心材料になり得るのかなと思いますが、何度も書きましたように、業者が自己利益のために始めたキャンペーンのため、「花珠真珠=最高品質」と信じた消費者にとっては知るほどに疑問が湧いてくるものとなっています。

6.消費者の期待と販売店の現実について

私が「鑑定書を信用して真珠製品を買ってはいけない」としつこくお伝えしている理由は、消費者の期待と販売店の現実がかみ合っていないからです。真珠製品の購入経験がない消費者は「花珠鑑定書つき=最高品質」「花珠鑑定書つき=安心」だと勘違いをしたまま商品を物色し、多くの人は「鑑定書つきの中でなるべく安い商品」を選びがちです。

すべての販売店は「消費者はそういうもの」と理解しています。そのうえで、販売店は自店の方向性や商品ラインナップをある程度選ぶことができます。ざっくり以下の3パターンがあると思います。

A)鑑定書は取り扱わない
花珠真珠キャンペーンに興味がない店舗(代表例:ミキモト)と、反対姿勢の店舗があります。

B)発行会社によらずすべてを取り扱う
メジャー、マイナー関係なく、様々な鑑定書を取り扱う店舗(目安として3種以上)は、自店で鑑定書の格付けを行い、鑑定書の格に合わせて商品の販売価格を決める(またはその条件に合う商品を仕入れている)こともあるようです。売れることが正義であり、商品に対するこだわりはあまりない。「こういう商品を求める消費者がいるから売る」という考え方で、決して悪いことではない。真珠上級者にとっては少々頼りなく見えて「これのどこが花珠なの?」と訊くと、おそらく「これを花珠だと認めているのは鑑定書を発行した会社であって自分たちではない。もしお気に召していただけないようでしたら、少し値段が上がりますがこちらB社の花珠はいかがでしょうか?」と答えるでしょう。

C)発行会社を選んで取り扱う
メジャーな鑑定書しか取り扱わないと決めている店舗は、マイナーな鑑定書は無意味だと知っていて、消費者にその説明ができると考えられます。とはいえ、メジャー鑑定書つき製品も価格はピンキリですから、安価なものは価格なりの品質でしかないことは覚えておきましょう。

7.花珠真珠店と花珠鑑定書の関係について

消費者が花珠鑑定書つき製品を希望するなら添付すればよい。消費者が花珠鑑定書つき製品に高品質や美しさを期待するなら、その期待を裏切らないものだけを販売すればよい。という考え方でスタートしました。もちろん当初から品質は値段なりだと言っております。まずは弊店の取扱価格帯の中で、真剣に品選びをして、自分で手直しをして、自分で花珠検査を通して、納得の品だけを販売しました。

鑑定書については今でも真珠科学研究所とだけ取引をしています。業界共通の花珠基準はないので、複数の鑑定書を取り扱うということは、「弊店の理念や品質の軸」がぶれることになると考えました。真珠科学研究所の鑑定書を取り扱うにあたって、鑑定の意味や内容を理解するため開店前に同研究所の資格保有者となりました。

ただ、2011年から1年半ほど真珠科学研究所以外の鑑別書を扱っていたことがあります。「本真珠である」というだけの、品質には一切触れていないものでした。震災後に商売が完全に止まってしまい、打開策として発売した企画商品に採用しました。

2019年のアコヤガイ稚貝大量死を受けて、まず最初に「鑑定書が希望されるなら添付すればよい」という姿勢が維持できなくなる危機感を覚えました。現在は自分で花珠検査を通すことは行っておらず、加工会社さんが鑑定書つきで用意してくれている品の中からお客様のご要望に合うものを選んでご紹介させていただいております。

8.誰が花珠鑑定書を取得するのか?

花珠真珠キャンペーンが始まったころは、ほとんどの加工会社さんは反対派でしたので、小売店や卸商が加工会社さんから半製品を仕入れ、自分たちで仕立て直しをして鑑定書を取得していました。ネット通販(主に楽天市場)で花珠鑑定書つき製品の販売数が伸びはじめ、加工会社の多くが耳飾り用のペアまでつけた状態で鑑定書を取得するようになりました。これにより小売店や卸商は自分たちの手間と時間を節約できるようになり、花珠鑑定書つき製品の流通量は加速度的に増えました。現在も加工会社さんが鑑定書を取得するのが主流です。

余談:加工会社さんから鑑定書取得済み製品を仕入れることで自社で取得するよりも少し高い手数料を支払うことになったのですが、ドナー品を自分で抱える必要がなくなり、仕入れてすぐに販売できるため時間の無駄を考えなくて済むことのメリットが大きく、少し高い手数料を払っても充分のその意味はあると考えました。

9.どうやって花珠鑑定書を取得するのか?

具体例を出して解説します。同価格で個性も酷似した連のネックレス素材を5本仕入れます。これら5本を鑑定書発行会社に送付します。(近くの人たちは直接持ち込みます)1週間から10日ほどでチェック結果が出ます。
結果は以下の3通りがあります。
A:一発OK
B:数粒の交換後再チェックによりOKの可能性あり
C:該当せず
各業者の取り扱い価格帯(品質帯)により結果の割合は様々ですが、参考までに弊店の場合はBが一番多く、次いでAです。Cは今まで一度もありません。
さて、仮に戻ってきた5本すべてがBだった場合、交換が必要とされた粒が一番多く含まれる連をドナー用にして、あとの4本について交換が必要な粒を抜きドナー用の連の交換不要だった粒に入れ替えます。こうして仕立て直し後の連4本を再度鑑定書発行会社に送ります。仕立て直した証拠として、最初に要交換と言われた粒(仕立て直し時に外した粒)も一緒に送ります。1週間から10日ほどで再チェック結果が出ます。この時点でOKがでたネックレスは、鑑定書を即発行しても良いですし、OK札(ピンクの厚紙)をくくりつけて鑑定書未発行のまましばらく保管することもできます。また、再チェックでもOKが出なかった場合、先の作業をOKが出るまで繰り返します。

10.花珠鑑定書を取得するために必要な時間とコストについて

上の具体例に沿って解説します。弊店の場合は3回目のチェックを受けたことはありませんので、2回目ですべてOKになる前提とします。

必要な時間:約3週間【超重要】
必要なコスト:鑑定書発行代金、チェック代金、2往復分の宅配送料
人件費:仕入、仕立て直し、宅配手配などにかかった従業員の給料
雑費:作業にかかわる備品代(糸、袋、梱包資材など)

これらに加えて、【超重要】ドナーとなった素材の損失額を花珠になった製品に割り振らなければなりません。また、事業をするうえで「仕入れた商品がいつ売れていつ入金されるか?」はとても重要な問題で、仕入れてから販売を開始できるまでに3週間超の時間がかかってしまうことは決して見過ごせない問題です。にもかかわらず鑑定書を取得するのは、その意味があると判断できるだけの利益の上乗せができているからです。

11.商品の価値と販売価格について

それでは、これまでに解説してきた鑑定書取得の進め方をベースに、実際の価格をあてはめて解説します。

花珠鑑定書取得前の評価価格店頭に並ぶ時点での参考価格
ドナー品300,000円100,000円
花珠鑑定書つき300,000円380,000円

この表が示すように、花珠鑑定書つき製品には取得時の条件に応じて付加価値料が上乗せされることと、その過程を解説していきます。

仕入れた連5本を仮に単価30万円(仕入原価ではなく販売価格)と設定します。この時点では5本すべてが同等品で同価格です。

場面変わって、花珠鑑定書を取得したあとの価格についてですが、
・ドナー品 30万円 x 1本
・花珠鑑定書取得品(30万円+かかった経費)x 4本
ここまでは算数で、全員が理解できるところだと思います。

ですが、実際にはドナー品は30万円で購入していただけません。30万円の花珠鑑定書つき商品(原価ベースではドナー品の格下)が販売されていれば、消費者には鑑定書なしで30万円の魅力がわかりにくく、鑑定書なしを選択する人はあまりいらっしゃいません。ではどうするか?ですが、ドナー品を実際に売れるであろう価格に設定することになります。

その調整をしたあとの価格例は、
・ドナー品 10万円 x 1本
・花珠鑑定書取得品(30万円+かかった経費+5万円)x 4本
になります。
花珠に加算された5万円は、本来30万円の価値があったドナー品を10万円で販売することで、差額の20万円を付加価値を乗せた方(花珠鑑定書取得品)に振り分けた計算です。20万円 ÷ 4本 = 5万円。

さらに、「かかった費用」について具体例となる数字を入れてみると、
・ドナー品 10万円 x 1本
・花珠鑑定書取得品 38万円 x 4本
となります。
※わかりやすくするため金具原価については触れません。

仕入れた時点では5本すべてが同等品で同価格だったのに、花珠真珠キャンペーン対象商品に仕立てた側の付加価値料がどのくらいになるかイメージできたのではないでしょうか。

さて、繰り返しになりますが、これは超品不足時代以前のモデルになります。そもそも、デフレの中でネット通販時代を迎えて私たち業者が真珠製品を不当に安く販売してしまっていた背景があり、付加価値が乗せられた価格でもベースが安すぎたため充分にその価値はあったと思っています。2019年のアコヤガイ稚貝大量死以降これがどう歪んでいくのか、解説していきたいと思います。

余談:弊店ではドナー品をアウトレット品として販売したり、メルカリshopsに出品したりしています。ずいぶん減りましたが、まだ少々あるので気になられた方は花珠真珠店メルカリshopsをご訪問のうえ、ぜひフォローをお願いいたします。新商品がアップされたときに通知が行きます。

12.品不足の中でも意味はあるのか?

絶望的品不足時代に突入して、真珠の相場が高騰。そもそも30万円だった商品が50万円(仮)になりました。このケースでは約66.6%高騰したことになるので、単純に上の計算例にあてはめると、
・ドナー品 16.6万円 x 1本
・花珠鑑定書取得品 65.3万円 x 4本
となります。

テレビなどで商店の店主が「物価高騰の中、うちは価格を据え置いて頑張ります。」とか「長年この価格で販売してきましたが、この度やむを得ず値上げさせていただきました。」といったコメントをしておられます。ありがたいことです。ですが、真珠の場合はそもそも供給量が激減していて、中国マーケットがごっそり買い上げる図式になっていて、真珠製品の相場を握る加工会社さんにとって中国マーケットがこの価格を受け入れ続ける限り値段をがんばる必要はありません。日本人顧客のために頑張りたい気持ちはあったとしても、そもそも量がないので余裕がありません。

13.予算面の問題がない人へ

65.3万円(仮)が予算的にOKで、花珠鑑定書がキャンペーンツールだと知っても、やっぱり花珠鑑定書つきを買うという方は、全然それでよいと思っています。業界の端くれものとして嬉しく思います。実際、私自身が「これはいいなぁ」と思える品はもう少し高額になりますが、きっとそのもう少しがのちの満足になると思いますので、是非私どもにもお声がけください。

14.真珠にそこまで払いたくないという人へ

そして、人生設計の中で、真珠セットに65.3万円をかける選択はない、でも真珠セットは今必要だという方には二つの選択肢があります。

その1 花珠鑑定書なしで検討しましょう。先に書きましたように花珠鑑定書は高品質を称えるためのものではなく、キャンペーンツールです。真珠相場が高騰していることによる価格の上昇は避けられませんが、キャンペーンのための付加価値料を払うのをやめましょう。

その2 納得がいくまで安価な花珠鑑定書つき製品を探しましょう。おそらく経年変化が大きく、短期間で古物感いっぱいの状態になると思いますが、消耗品と考え、少し引っ張って15年後に買い替える前提でいてください。15年後にどういう状況になっているかは誰にもわかりませんが、今安価な花珠を選択するのはそういうことになります。

15.贈り物なので鑑定書があるほうが格好がつくとお考えの方へ

わかります。その気持ちはよくわかる立場で、一つ伺います。

黙って良い品をポンと渡すことに高い優先度を置いていらっしゃいませんか?

こういう時代なので、贈られる側の人と一度コミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。「真珠を贈りたい」「今、真珠は大変なことになってるらしい」とあなたが学んだことを伝え、相手の希望を伺ってみてはいかがでしょうか。意外に鑑定書つきを前提に考えていたのが自分だけだったりすることもあると思います。

また、真珠製品は買って終わりではなく、お手入れやメンテナンスをしながらつきあっていく品です。購入時にあなたがたくさん勉強して良い品を贈ったとしても、贈られた人が真珠に興味がなく無頓着に扱ってすぐにダメにしてしまう可能性もあります。贈られる人の価値観を知って、それに合う品を贈ることも格好いいと思います。

16.もったいない その1 付加価値代金のこと

私個人が思うところとしましては、真珠製品に対して高額な出費をしていただけるのはありがたいことですが、真珠生産量超激減時代になったことでそもそも相場自体が高騰しており、その高騰した価格に加えて花珠鑑定書の付加価値料をお支払いいただくことに「今は一旦違う」と思っているわけです。事情を承知のうえで、それでも花珠を選ぶ方は一定数いらっしゃいますし、その人たちに私が「やめたほうがいいです」と言うことはありません。ご要望に沿った手配をして、ご自身の選択に満足していただけるよう努めます。

ですが、かつてそうだったように店舗側から積極的に花珠真珠キャンペーンを展開していくような時代ではなくなったという意味で「今は一旦違う」と考えているのです。

11で書きました通り、もともと私たち業者の評価では同等品だった素材に対して、付加価値を乗せた側と、そのためのドナーになった側で、店頭に並ぶ時点ではこれほどの金額差が生まれてしまう現実があります。そして、その付加価値(花珠鑑定書)はあなたにとってそれだけの付加価値料を支払う意味があることでしょうか。それが資本主義だと言われればその通りです。ただ、今の価格の相場は中国マーケットがけん引しているものであって、私たち日本人が真珠熱を高めた結果とはいえませんので、日本の消費者に対して花珠真珠製品を選ぶのはどういうことかを丁寧に説明し選んでいただくべき時代になったのではないかなと思っています。

17.もったいない その2 真珠の使い方

例えば、8-8.5mmの連のネックレスを1本作るには、色てりの方向性や強さがマッチしている50粒を選ばなければなりません。あなたが連組みをするところを想像してみてください。個性さまざまな100粒から50粒選んで1本を作るのと、1000粒から作るのとでは、どちらがより精度の高いネックレスができそうですか?

今は生産量が激減していて、少ない素材の中で連組みの職人さんたちは頑張っておられます。渾身の一本を作ってやるというマインドセットは無理で、なるべく余り珠を出さないように折り合いのいいところを探しながらの、とても難しい作業なります。昔からメーカーの仕事はそういうものだといわれればそうですが、量があった時代の妥協と今の妥協とでは、出来上がる製品の平均点が全然違うと思っています。

そういった難しい状況で、せっかく一粒の最適な居場所を見つけてあげたとしても、花珠鑑定書を取得するために否定された粒を入れ替えなければならず、人為的に強いられる妥協を受け入れなければなりません。そうして全体がブラッシュアップされるのであれば良いのですが、素材がない中で鑑定書取得を優先すると、職人目線で本来ここに収まるべきではない粒であってもOKを取るにはこれを使うしかないという妥協の産物が増えてしまうことになります。

これって、限られた素材を有効活用できているとは考えにくく、もったいないと思っています。

18.もったいない その3 花珠鑑定書の評判を落とす?

量が減っている中で花珠鑑定書つき製品をなるべく多くつくるためには、キズっぽいけどNGではない粒を有効活用しなければなりません。また、そういう粒ばかりでネックレスを組むとNGになるので、NGにならない程度の分量で振り分けなければなりません。量があったころの花珠鑑定書つきネックレスでは、ある価格帯以上の品は本当にキズが少なかったのですが、今は値段にかかわらず、すべての品に一定量のキズっぽい粒が組み入れられています。

量があったころにご自分用の花珠鑑定書つきネックレスを購入した人が、今年成人するお嬢様のために花珠真珠を贈りたいと購入したとします。ご自分のころと比べて高額になったのはしかたないとしても、「自分の時よりもずっと高額な買い物になったのに、なんかキズ多くない?」といったことが全然起こり得る状況です。成人年齢が18歳になったことで、今年成人を迎えるお嬢様の入園式用に購入したネックレスの場合、2007年~2008年に購入されているので、そういう声が上がり始めるころなのかなと思います。

せっかく業界全体で盛り上げてきた花珠真珠キャンペーン、歴史的に例を見ない大成功となっていますが、今きちんと情報をシェアしないと評判を落とし、また真珠製品に対する世間の関心が薄くなっていくのではないかと心配です。そうなってしまったらもったいないと思います。

19.花珠真珠店は花珠真珠を売る店ではなくなるのか?

繰り返しになりますが、大切なことなので最後に書かせていただきます。弊店はあくまでも花珠鑑定書推奨派です。花珠鑑定書の使い方については、消費者の期待に応えることを目的とし、正しく利用されるべきという考えで変わりありません。今も花珠真珠を購入希望のお客様に対しては、きちんとご要望を伺ったうえで、条件に合う中で最良と思える品をご紹介させていただいております。今回皆様にお伝えしたいのは、「今は一旦違う」と思っていることとその理由であって、花珠鑑定書を否定するものではありません。また、生産現場の状況が改善され、一旦違うと思っていることが解消され次第、積極的に花珠真珠キャンペーンを再開してまいる所存です。それまでしばらくの間、花珠真珠製品はリクエストベースのネット版サロン形式(実物商談を含む)での手配とさせていただきます。

最後に弊店が花珠鑑定書を推奨する理由をお伝えさせていただきます。
・第三者による検品である。
・多くの消費者が望んでいる。

まとめ

長く、しつこい話におつきあいいただき、ありがとうございました。いかがでしたでしょうか?過去に花珠鑑定書に関してここまで赤裸々に語った人はいないと自負しております。これだけ知っていただいた今となっては、花珠鑑定書は最高品質の証、オーロラ天女が最強といったこれまで消費者が思い込まされていたことが、バカバカしく思えてくることと察します。キャンペーンツールの正しい使い方としてはそれが正解なのかもしれませんが。花珠真珠キャンペーンの黎明期に「これはキャンペーンであり、鑑定書はツールです」と言ったのか、言わなかったのかは、私にはわかりません。当時の私は旅行業界から転職したばかりで、僭越ながら「真珠業界の人たちは売り込みが得意ではない」と感じていましたし、真珠業界の人たちからは「世間の真珠への理解と興味が低いから先が心配だ」といった声も聞いておりました。その状況に変化をもたらしたのが花珠真珠キャンペーンだったので、歴が浅い私にとっては良い印象でしたし、これをうまく活用できれば全員ハッピーを実現できるような気がしていました。


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