こんにちは。竹内です。
一粒パールネックレスにつきましては、ほとんどの店舗で常時取り扱いがある人気商品で、レギュラーサイズの連のネックレスに並ぶ定番パールネックレスといって良いと思います。
定番商品であるため、既にお持ちの方もいらっしゃると思いますが、これから購入を検討される方に向けて、何に注意して、どのように検討を進めればよりご満足いただけるのか、専門家としてアドバイスさせていただこうと思います。
注)ここではアコヤ真珠に限定して書いておりますので、その点にご留意ください。
1.パールサイズの選び方
パールサイズを間違えるのは最も避けたい失敗です。消費者は残念だと感じ、店舗がサイズ詐称をしたわけでもなく、結局誰も得をしない、全員がアンハッピーな状況になるからです。アコヤ真珠の場合、10mmオーバーの大粒はなかなか流通しませんので、「大きすぎる?」という心配よりも「思っていたよりも小さかった」という残念な思いをしないように注意が必要です。連のネックレスと違って一粒完結ですし、ペンダントのような飾りつけもありませんので、ある程度大きめを選んでもちょうど良かったりします。弊店一番のおすすめサイズは8.5-9mmですが、ご自身でも消費者の感じ方を調べてみることをおすすめします。調べ方は簡単で、ネット店舗の商品レビューを活用します。「思っていたよりも小さかった」という投稿がほとんど見当たらないサイズを探し、そのサイズ以上でご検討いただくのが良いと思います。
2.パールの色やてりの選び方
連のネックレスは連続する粒の世界観が首回りを飾るので、ご自身の雰囲気に合うタイプを選ぶことも品選びの重要なところになります。ですが、一粒パールネックレスの場合は一粒完結ですし、ペンダントのような飾りつけもありませんので、ご自身との親和性を気にすることなく好きなタイプを選んでOKだと思います。複数のタイプを所有していただくのも良いと思います。
商品を作る立場として気にしているのは、黄色味がある真珠には金色のチェーンを合わせることです。もちろん黄色味のある真珠と銀色のチェーンの組み合わせが似合う方もいらっしゃいますが、作るネックレスがどなたのもとに行くのかがわからない時点では避けています。
また、形につきましてはラウンド系が無難です。歪んだ珠の個性を楽しむのも良いですが、その場合は完成品を見てから決めることをおすすめします。穴をあける位置によって表情が変わってしまいますから、真珠だけ確認してオーダーで作ってもらうのはおすすめできません。
3.実は難しいチェーン選び
チェーンには様々なタイプがありますが、一粒パールネックレス向きのタイプとそうでないタイプがあると思っています。そうでないタイプを選ぶことで真珠の耐久性を落としてしまう場合がありますので解説します。チェーンの太さによって必要な真珠の穴の大きさが違ってくることはご想像いただけると思います。ところが、チェーンは細くても留め具の接合部分の作りによって真珠に大きな穴をあけなければならない場合があります。例えば、0.6mm幅のチェーンを通す場合、計算上は0.7~0.8mmの穴が適切です。ただし、チェーンに留め具を接合するためのパーツが取り付けられている場合、そのパーツの幅が1.0mm以上あるなら、より大きな穴が必要になります。仮に真珠に1.1mmの穴をあけてそのチェーンを通すとします。パーツを通すのはギリギリですが、通ってしまえばチェーン幅0.6mmに対して真珠の穴が1.1mmありますから、真珠がチェーンのうえをスルスル移動する状態になります。スルスル移動するということは、真珠の穴口とチェーンが常にこすれている状態のため、真珠の穴口が黒く汚れやすくなります。穴口部分が脆弱な真珠を使用した場合、真珠層の剥がれが起こることもあります。ネックレスの耐久性を考えると、チェーン幅と真珠の穴径は重要な問題ですので、一粒パールネックレスに使用するチェーンを決めるのは意外に難しいです。
ご参考までに、弊店では国内チェーンメーカーさんの品を使用しています。これはチェーン切れなどが起こった場合に修理対応できるからです。使い勝手抜群の一粒パールネックレスだからこそ、永くご愛用いただくためのバックアップ体制は重要だと思います。
4.パールのセッティングについて
一粒パールネックレスのセッティング方法には以下の3通りがあります。
A.チェーンを真珠に通すだけ
B.チェーンを真中でカットしてそこに真珠を留める
C.真珠に大径の穴をあけて内側(穴口含む)を金属でカバーする
消費者がどれを選ぶかはそれぞれに好みがあると思うのですが、業者にもそれぞれの立場で自分に有利なスタイルがあります。真珠業者は真珠を売るためにチェーンを仕入れて作るのでAが主流になりますが、ジュエリーメーカーは金属を売るために真珠を仕入れて作るので一番金属の使用量が増えるCを好みます。Bはステーションネックレスの一粒版みたいなかたちになるわけですが、真珠にあける穴径が最も小さくすみますので製作による真珠へのダメージも最小(ほぼない)ですむうえに、チェーン上を真珠が移動することもないため穴口の汚れや痛みの心配もほぼありません。一番理想的なセッティング方法だと思うのですが、真珠業者にとってはコスト増になることと製作に時間がかかることが気になって選択しにくく、ジュエリーメーカーにとっては金属の使用量が大きく増えるわけでもないので選択しにくく、結果として流通量が一番少ないタイプになってしまっていると思います。真珠業者の私から見て、Cについては相当大きな穴をあけているため、穴を拡げていく過程で核にひびが入るなどの問題が起こってしまっていることもめずらしくないのではないか?と思ったりします。もしひびがあって、購入後数年経ってから表面にまで広がってしまった場合、真珠だけ買い替えることができたとしても、金属の費用と職人さんの工賃を再度負担させられることになるため高額な修理代金が必要になることも覚えておきたいところですね。
5.花珠鑑定書の有無について
弊店では真珠科学研究所としか取引がありませんので、真珠科学研究所の鑑定書であるオーロラ花珠に限定して解説させていただきます。一粒パールネックレスに花珠鑑定書がつくのは、連のネックレスに花珠鑑定書がつく以上に意味があることだと思っています。理由は、実際にその一粒が評価されて、その一粒に対して発行される仕組みだからです。連のネックレスのように「この粒を交換すればOKになる可能性がある」という結果が下されることはなく、その一粒がOKかNGか、ただそれだけなのではっきりしていてわかりやすいです。そして、鑑定書にはその一粒の実寸値がサイズとして表記されますし、巻き厚測定値も然りです。連のネックレスの場合は数十粒すべてを個の単位で確認しているわけではなく、数十粒を一つの製品として全体像で確認していますので、これを分解して個で確認すると、NGになる粒が一定数含まれています。安価な品の場合はOK粒よりもNG粒のほうが多いことが普通だと思います。
わかりやすく説明すると、連のネックレスに使うならOKの真珠でも、一粒パールネックレスに使うのはNGとされることが多々あるということです。
その仕組みを批判しても仕方がなく、消費者は限られた中でより好ましい選択をするしかありません。割高になっても鑑定書つきを選ぶか、アクセサリー感覚で使って楽しむ目線で鑑定書なしを選ぶかになるかと思います。そして注意すべきは、「花珠ネックレスを分解して作りました」と説明されている商品を選ばないことです。先に説明した通り、連の状態では花珠ネックレスだったとしても、分解した時点で「花珠だった」ことは過去のことになっていて、既に花珠ネックレスではなくなっているわけですから、わざわざ「花珠ネックレスを分解して作りました」と説明するのは印象操作です。こういった印象操作をする店舗は平気でしますし、しない店舗は意識してしないように気をつけています。印象操作をする店舗で買うことに抵抗を感じない方なら良いのですが、気になられる方は別の店舗を選ぶのが良いと思います。
花珠鑑定書についてより深く知りたい方はこちらをご参照ください。
2023年 花珠鑑定書について再確認しましょう
6.予算について
まず鑑定書つきを選ぶか、鑑定書なしを選ぶかで、全く同じ真珠とチェーンを使っても1万円程度の差が生まれることを知っておきましょう。鑑定書の実費と取得に係る宅配送料等の経費がかかるからです。そこからご自身で逆算していただいて、予算に見合った方をお選びいただくのも良いのではないでしょうか。予算が3万円の方がそのうちの1万円は鑑定書代だというのと、予算が6万円の方がそのうちの1万円は鑑定書代だというのとでは、みなさまそれぞれに答えがあると思います。
また、上の第4章で書いたABCについて、セッティングスタイルの違いによる真珠原価と金具原価のバランスを考えてみましょう。真珠原価以外のコストが一番高額なのはC、次いでB、そしてAです。つまり、すべて3万円、パールサイズ8.5-9mm、金具の材質K18という同条件でセッティングスタイルが違う3種が並んでいる場面を想定すると、真珠に一番高額なコストをかけられるのはA、次いでB、そしてCとなります。限られた予算の中でより良い真珠が使われていることを希望するならA、Cを選ぶ場合はそれなりの予算の上乗せが必要と考えていただくのが良いと思います。
注)店舗によって利益率が違うので、一つの店舗の中での想定とご理解ください。
ご自身の予算をいくらに設定するかは悩ましいところかもしれませんが、一粒パールネックレスは多くの方にとって本当に使える相棒になってくれるので、思い切っていただいても後悔は小さいと思います。後悔があるとするなら「こんなに使うならけちるべきではなかった」のほうが一般的なのではないかと思います。
チェーンの材質によっても価格は大きく違ってきます。特に今のように貴金属の価格が高い状況でK18を選ぶのか、SVを選ぶのかでは、大きな価格差が生じます。これについて私からお伝えしたいことは特にありません。
7.商品レビューの見方
一粒パールネックレスには、店舗側の思惑として「パールネックレス入門用の役割」と「自店でのお買い物体験を提供する役割」があり、そのためにお値打ち価格が設定されたり、レビュー投稿を条件に送料無料等のサービスが提供されることがあります。よって、高評価で当たり障りのないレビューは、購入時の条件として投稿されたものが多く、参考になるものは少ないです。そのため、レビューの平均点や投稿数を気にするよりも、低評価の投稿を優先して参照することが商品レビューの有効な見方だと思います。
8.最も重要な注意点について
たくさん検討して納得の品を入手できたとしても、保管の仕方を間違えると入手までの努力が簡単に水の泡となる場合があります。一粒パールネックレスは使い勝手が良すぎるために雑な保管をしてしまう可能性が高まることがあると思います。「明日も使うから」と鏡台に放置してしまう場面が想像できるようでしたら、注意が必要です。着用後は必ず軽く乾拭きをして、暗所でのケース内保管を心掛けてください。
9.宣伝
いかがでしたでしょうか?専門家(自分をプロだと言っているわけではなく、専業の人という意味で使っています)が自分の経験から学んだ知識を惜しみなくシェアしてみました。
弊店では養殖現場の状況が改善されるまでの間、楽天市場限定で他店様の商品購入の相談に乗らせていただいております。もし今回こちらの記事を読んでいただいて私に相談していただく意味があると感じていただけたなら、ぜひ相談をお寄せください。
詳しくはこちらで解説しております。
【楽天市場限定】他店様の商品購入の相談に乗ります!
よろしくお願いいたします。
—
この記事へのコメントはありません。