こんにちは。竹内です。
弊店では「中古のミキモト製品に手を出すのはやめましょう」と繰り返しご案内させていただいておりますが、手に届く価格のミキモト製品、やっぱり気になりますよね。
それでは!と、某有名オークションサイトと某有名フリマアプリで実際に私が検索をして結果を見てみようと思います。
検索キーワード「ミキモト ネックレス」での結果を公表します。
※あくまでも「ミキモト製品」として出品されているものを対象として、ミキモトのキーワードに引っかかるよう細工されたものはカウントしておりません。 |
某有名オークションサイト
於:2023年2月19日(日)11:50-12:40
連のアコヤパールネックレスの商品数:102
画像不明瞭で判断不可能:15
偽物の疑いがある商品数:37(42.5%)
某有名フリマアプリ
於:2023年2月19日(日)15:25-16:05
連のアコヤパールネックレスの商品数:73
画像不明瞭で判断不可能:30
偽物の疑いがある商品数:10(23.3%)
さて、皆様はこの数字をどのように感じましたでしょうか?これに加えて、そもそも写真は送られてくる現物を撮影したものなのか?、ちゃんと写真の品が届くのか?という根本的な問題があることは気にかけておきたいところですね。
では、私が実際に調べてみて感じたことをシェアしたいと思います。
1.全体的に小粒である
弊店では、また私が把握している限り他店さんにおいても、今の消費者が希望するサイズ第一位は圧倒的に8-8.5mmなのですが、出品されているミキモトさんのネックレスの場合、7mm未満が半数以上です。前オーナー様が小粒であることを理由に手放したのかな?と推測できますが、あくまでも推測、皆様もご自身で「自分が手放すとしたら?」と想像してみてください。
購入する側として「ミキモト製であること」に基準が偏り過ぎてしまうと、7mm未満であることがだんだん普通に思えてきて「そういうものだ」と自分の中で納得してしまうのかもしれませんが、世間の標準サイズからするとかなり小粒です。いろんなサイズを複数所有してTPOで使い分けるのは「あり」だと思うのですが、冠婚葬祭当面これ1本でという方には後悔につながらないよう、じっくりとご検討いただいた方が良いと思います。
2.全体的に古い
出品物には古いものが多かったです。経年変化があきらかに起こっていて、きつい言い方になって申し訳ございませんが賞味期限切れです。これらの古いネックレスから「ミキモト製である」ことを差し引いて、純粋にその真珠自体の価値と販売価格を考えると「高額な買い物になる」というのが私の感想です。
3.雑に扱われた気配がある品も
汗負けによる白濁化を起こしている品もありました。おそらく前オーナー様が使用後の乾拭きをしなかったのだろうと思います。中古品の当たりハズレ問題ではございますが、私たちが見て写真でわかるのはある意味親切だと言えます。画像不明瞭で判断不可能な出品物もありましたので、仮にそれが本物のミキモト製品だったとしてもハズレを引く可能性があることの注意が必要です。
4.金具と付属品がミキモトでも真珠自体がすり替えられていることはある
今回の調査ですり替えが行われた商品があることははっきりしたのですが、もうひとつわかったのは、本物か偽物か?という1点においては、あきらかに個人の所有物を本人が出品している場合に、本物の確率が高いと感じました。そして、出品者本人が本物である確信があるからだと思いますが、販売価格は強気です。新品の花珠鑑定書つきよりも普通に高額だったりしますが、それは自分がミキモトで支払った金額、使用回数、所有期間を知っているからこその価格設定だと感じます。オークションやフリマアプリでは出品者の「その他の出品物」「過去の取引履歴」を必ず確認しましょう。真珠のネックレスがたくさん出てきたら、私物出品ではなく販売目的で仕入れたものだと、私なら判断します。
5.疑問??
「出品前にミキモトで糸替え済み」と記載されたものを多く見ましたが、そこで私が疑問に思ったのは、もし糸替えを依頼されたミキモトさんが「あれ?これはうちのネックレスじゃないかも?」と感じた場合に、「これはうちの品ではありませんね」と言えるのか?ということです。仮にそう指摘したとして、所有者はミキモト製品だと信じているわけで「金具にミキモトの刻印があるじゃないか!」と言われた場合に返す言葉があるのか?と考えると、気づかなかったふりをして糸替えをしてあげて、気持ちよく次の買い物につなげていただくほうが得だと考えるのでは?と思ったりします。だとすると、「出品前にミキモトで糸替え済み」というセリフは本物であることの証明にはならないと言えますね。ちなみに弊店では商品番号、商品の仕様、販売年月日、ご購入のお客様の情報をネット接続していないパソコン上で管理しているので、他店購入の品の依頼が来て「違いますね」と言ったことが一度だけありましたが、もし弊店のビジネス規模がミキモトさん並みだったらと想像すると、販売済み製品の膨大な量のデータを管理し続けるためのコストより、言われたら糸替えをする方が安く上がるし、いやな思いをする人を生みたくないので、袖振り合うも多生の縁ってことでやっぱり糸替えすると思います。
6.なぜ真珠のすり替えがおこるのか?
すり替えをした本人の事情を考察しても仕方がないので、なぜすり替え品がミキモト製品として再流通してしまうのかについて解説します。中古市場に再流通する手前で、だれかがそれを買取しているわけですが、その業者さんが真珠そのものの評価ができずに金具の刻印や付属品だけを確認してミキモト製品として買い取り、悪意なく販売してしまう、そして消費者が購入してしまう、売れるからまた買取るという流れになっています。また、買取業者さんは商品の価値に関係なく、過去の販売実績から中古品として売りやすい価格ありきで買い取っていると思われ、その査定額に売り手が納得したからこそ売買が成立しているわけで、両者共に手探りな状況での取引だからこそ、本物と思われる個人出品のものと比べて安価に販売されていると考えます。
結構疲れましたが、面白かったです!どなたかの参考になればうれしいです。
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