こんにちは。竹内です。
今回は真珠の商売のお話です。残念ながら私にはビジネスを語れるほどの学も知識もありませんので、荒い内容になるかと思いますが、その中の一部でもどなたかの参考になれば嬉しいです。
では、はじめさせていただきます。
真珠産業は、生産者、加工業者、販売業者と分業されていて、ひとつの真珠製品が店頭に並ぶまでにたくさんの人が携わっています。また、養殖のための母貝育成から店舗のショーケースに並ぶまでには年単位の時間がかかっています。
たくさんの人手と時間がかけられているので、真珠は高額になるのが正しいありようです。
ですが、今の日本では「安さアピール」が目立ち、高額な真珠製品が販売されているのを見る機会はなかなかありませんね。また、買い替えのお客様からは「真珠は安くなったわね」と言われるほどです。
さて、高額であるべき真珠が「安くなった」と言われるのは、なぜでしょうか。それについては、以前に書いた記事をご参照くださいませ。
参考)真珠は安くなったのか?
真珠の販売価格に含まれているもの
例えば、一連の真珠ネックレスで、30万円の品と10万円の品を比較した場合、真珠の価値(評価額)は当然違うわけですが、それ以外のコストはどちらもほぼ同じです。取り付ける金具やケースなどの付属品にかかるコスト、販売に伴う人件費や消耗品費、通販の場合は送料… 等のことですね。販売価格が3倍違うからといって、3倍高額な金具やケースを使うことはまずありません。
同じ利益率では勘定が合わない
そして、なにより販売にかかる手間も同じです。売上1件にかかる手間が1だとしたら、30万円の品で30万円売り上げるのに必要な手間は1、10万円の品で30万円売り上げるのに必要な手間は3です。店の売上額は同じでも、単価が低いほど手間がかかります。
弊店が安価な商品を販売しない理由
安価な商品を販売するなら、数を売らなければなりません。数を売るためには多くの人に知っていただくために広告を増やさなければなりませんし、売れたら売れたで、自分一人の手に負えなくなり、スタッフが必要になります。そうして増えたコストをカバーするためには利益率を上げなければなりません。
薄利多売という言葉をよく耳にしますが、真珠は日用品ではないので、「補充のためのリピート注文」がなく、数を売るといっても毎日100、200と売れるものではありません。薄利で数をさばきたくても、日用品のようにはいかないのが現実で、志がどうあれ、店を継続していくためには利益率を上げるしかありません。
弊店では、良い品をリーズナブル価格で販売するために、自分一人の手に負える量に留めること、低い利益率でもコストをまかなえる価格帯のみ取り扱うことを開店前の事業計画から決めて取り組んでいます。
東日本大震災のあと、先行き不安から29,800円でおためしセットの販売をはじめました。ご好評いただいてたくさんのご注文をいただきました。あの時期に忙しくさせていただいて本当にありがたかったのですが、実際、私一人の手には負えない状況になりました。スタッフを雇うどころか、利益を出すことすらできていなかったので、2年弱で販売をストップさせていただきました。
安価な商品ほど利益率は高く設定されます
一般的なイメージとして、安価な商品はお店が頑張って低価格を実現していて、高額な商品はお店がたくさん儲けていると思われがちですが、利益率を考えると、真珠の場合はそうではありません。安価な商品は、皆様が想像するよりずっと安い品に、必要な利益を乗せても、まだ安いと感じる価格に抑えられているだけです。
上で弊店の経験を書きましたように、安価な真珠製品を販売するためには、最初からその計画に基づいた規模と利益率が必要です。
一番伝えたいこと
最初に真珠購入のご予算を20万円でお考えの方が、情報収集をして「オーロラ花珠だったら安心らしい」と、オーロラ花珠を物色しはじめました。最安値は10万円あたりですが、さすがにそれでは予算の半分程度だし不安なので15万円あたりで… というパターンは多いと思うのですが、20万円の支出が許されるなら、20万円という軸は固定していただいて、どの20万円を選ぶか?というご検討をしていただくことをおすすめします。その5万円の差が、購入後5年で現れることも珍しくありません。
あくまでも、選び方はみなさまの自由ですが、私はそのようにおすすめいたします。
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