真珠のピンクとは?
ここで説明していること・ピンクは個性。品質とは無関係です。・地色のピンクと干渉色のピンクを分けて考えましょう。 ご興味をお持ちいただけましたら、以下へ読み進めてください。 |
1.はじめに
最近になって「ピンクの真珠は高品質の証」という誤解は、ほとんど聞かれなくなってまいりました。
個性の問題だという認識が広まってきたということだと喜んでおります♪
さて、そのピンクについてですが、実は「何がどうピンクなのか?」という定義が曖昧で、私たち業者ですら「ボディカラー識別派」と「テリカラー識別派」があり、両者間で誤解が生じることも珍しくありません。
「ボディカラー識別派」は「ピンクな仕上がりのもの」をピンク系とし、「テリカラー識別派」は「ピンクな個性のもの」をピンク系とします。
これを具体的に説明させていただきますので、ピンク系の真珠をお探しの方に参考にしていただけると嬉しいです。
2.ボディカラー識別のピンクとは?
現状、世間では「ボディカラー識別派」が圧倒的に多く、百貨店や、一般宝飾店ではほとんどが「ボディカラー識別派」で、専門店でも多くが「ボディカラー識別派」です。
こちらの画像をご覧ください。
「ボディカラー識別派」には、左がピンク系、右がホワイト系です。
ポイントは真珠の実体色(=ボディカラー)にありますが、一般消費者にとっては、違いがわかりやすい2本をを並べて比較した場合に理解できても、単独ではわかりにくいものです。お店で店員さんが「これはピンクです。」と1本取り出せばピンクだと思うことでしょうし、全く同じものを「これはホワイトです。」と取り出せばホワイトだと思うかもしれません。
真珠がなんとなく「ピンクっぽく」見える理由の多くは、真珠がもって生まれたものではなく、調色加工によって、人工的に調整された赤味だからです。(調色はベースメイクの類で、染色とは全く別物です)つまり、加工によって赤味が強く入ったものほど「濃いピンク」、赤味があまり入らなかったものは「薄いピンク」というのが「ボディカラー識別派」の考え方であり、先に私が「ボディカラー識別派はピンクな仕上がりのものをピンク系とする」と言ったのはそういうことです。
調色加工は、昔から行われている標準仕様の加工ですので、私はこの「加工深度による色分類」を間違いだとも、悪いことだとも申しません。ただ、ご自分がピンクについて知ったうえでそれを自ら選ぶのと、知らずに選ばされるのとでは、やはり違うと思いますので、話を進めていきたいと思います。
3.テリカラー識別のピンクとは?
当店は少数派の「テリカラー識別」を用いておりますが、その根本にある考え方は、人の手によって調整された色味は、ピンク寄りであれ、イエロー寄りであれ、大きくホワイト系として扱いましょうというものです。
例えば、白のコピー用紙も、メーカーや型番が違うものを並べてみると、様々な白があることに気がつきますね。ですが、単独で見た場合には、そのどれもが白であって、それぞれに「○○な白」とは言わないのと同じ感覚です。
このように書きますと「テリカラー識別派」は大雑把だという印象をお持ちになられるかと思いますが、実はそうではありません。
ここにピンクっぽいホワイトのネックレスが2本ございます。
ボディカラー識別派にはピンク系ですが、テリカラー識別派にはグリーン系です。
いかがでしょうか? ピンクに見えますでしょうか?
目前において物として見たときにピンクっぽいホワイトであっても、人肌の上では真珠が肌色を吸い込むことで、少々のピンクっぽさ(イエローっぽさも)は飛んでしまいます。そして、より前面に出てくるのがテリカラーなのです。
特にこういったタイプでテリが強いものほどグリーンの存在感が増しますので、ピンク系を買ったつもりだったのに、身につけたらグリーンだということが、実は「当然の結果」として起こってしまいます。
「テリカラー識別派」は、少々ピンク寄りであっても、イエロー寄りであっても、身につければホワイトだという解釈です。
真珠科学研究所もテリカラー識別を行っていて、オーロラ花珠の定義として「6.0mm 以上のホワイト系 アコヤ真珠」であることが大前提になっています。ボディカラーによって、ホワイト系以外のものに対しては「クリーム系」=オーロラアコヤクイーン、「ブルー、グレー系」=オーロラ真多麻、「ゴールド系」=オーロラ金色といった呼称が設定されていますが、「ピンク系」は設定されておりません。ピンク系だと店頭で説明を受けたオーロラ花珠の鑑定書に記載されている「ボディカラー(実体色)」が、必ず「ホワイト系」なのはそういう理由からです。
当店では、商品の分類こそ「テリカラー識別」にて行いますが、ボディカラーを軽視しているわけではなく、各商品の説明文で「ボディカラーは…」と、その色味を説明させていただいております。
それでは、テリカラーによる分類を、わかりやすいものを例にご覧ください。
なお、こちらの画像は撮影用ライトでテリを引き出しています。どのような環境下でもこのように見えるものではございませんので、お含み置きくださいませ。
分類の仕方につきましては、まず真珠の中心部分で判断します。中心点からピンクで立ち上がっているものはピンク系で、当店ではその濃さや色調によって、ライトピンク、コーラルピンク、ピュアピンク、ローズピンクのいずれかに分類します。(コーラルピンク、ローズピンクについてはボディカラーとのマッチングも加味しています。)
中心付近がグリーンとまでは言えないものの、青味のあるグレーのような色で、それをピンクが取り囲むものがブルーイッシュピンク、中心付近がグリーンのものはその周囲にどれだけピンクが現れようともベースカラーがグリーンなのでグリーン系です。また、ピンクがほとんど現れないグリーンはピュアグリーンとしています。
また、鑑定書に掲載されておりますオーロラ画像にも、ピンク系、グリーン系の特徴が見られますので、ご参考にしていただければと思います。ピンク系の特徴は、上半球が赤く、下半球のオーロラは寒色系で、グリーン系の特徴は、上半球が深緑、下半球のオーロラは暖色系です
そして、人肌の上ではこのように個性の違いが現れます。
4.個より全体像で判断します。
最後に、ネックレスは数十粒の真珠が集まってひとつの製品になります。ピュアピンクのネックレスの中に、数粒のグリーン系の真珠が含まれることもございます。最終的な分類の判断は全体像で捉えて、印象が強い方とさせていただいておりますので、お含み置きくださいませ。