こんにちは。竹内です。
「アコヤガイの稚貝が育たない=真珠養殖で使う母貝がない=真珠の生産量が激減」この歴史的にも稀な大問題が、その後どうなっているのか?
現在の状況をシェアします。
1.原因究明は進んでいない。解決策はないまま。
先日、取引先の社員さんがこう言いました。
「愛媛の稚貝の問題も原因がわかってよかったですね」
私には初耳でしたが、一度情報収集をして現状を確認してみようと思うきっかけになりました。
現状、稚貝の出荷量は回復基調にありますが、その理由は「数の理論」でした。たくさん死んでしまうのだから、たくさん作るようにすれば、最終的に一定量は確保できるだろうという見方ですね。
今後に希望が持てるものではありませんが、とりあえず単純で確実な暫定的方法ではあります。
2.出荷された稚貝のその後
稚貝は生産者から出荷された後、各養殖業者さんで世話をして母貝として使用できる大きさになるまで育てられます。今回の調査でここに異変が起きていることがわかりました。
母貝の成長スピードが遅いのか、母貝の成長が早く止まってしまうのか、小型化現象が起こっているのか、まだわかりませんが、通常よりも小さな貝に核入れをしています。養殖業者さんにとっては挿核手術の日に必要な母貝がないと仕事になりませんから、貝が小さいならその大きさに適当な小さなサイズの核を入れるしかありません。一部養殖業者さんではその後の成長を確認するためいくらかの貝を残して様子を見るはずですが、今の時点では成長が遅いのか、成長が止まってしまうのかを考察できる状況ではありません。
自然の摂理に反して、人間がアコヤガイの誕生数を増やし、自然環境下では出会うはずがなかった遠距離カップルの子供を誕生させ、がちゃがちゃした結果アコヤガイに異変が起きているのかもしれません。単純に海水温の変化やプランクトンの質や量の変化にアコヤガイが生物として対応しようと進化しているのかもしれません。真相は誰にもわかりませんが、母貝のサイズが小さくなっているという事実は確認できました。
3.母貝が小さくなると真珠の流通はどうなるのか
先に書きましたように、小さな母貝にはその大きさに適したサイズの核を入れる必要があります。小さな核を使うということは、出来上がる真珠のサイズは小さくなるということです。今年挿核手術をした真珠が出来上がった時、流通の中心が7-8mmになる可能性があります。製品のサイズで言うと、7-7.5mm、7.5-8mmですね。現在、最も需要のあるサイズ8-8.5mmの生産量はかなり減ることが予想され、このまま8-8.5mmの人気が継続してしまうと、品質に関係なく8-8.5mmだという理由だけで価格が高騰する可能性があります。よって、今でも十分高額になっている8-8.5mmですが、このサイズ一択で考えていらっしゃる方は、やはり今動くのが正解となるような気がします。
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