こんにちは。竹内です。
今回は番外編です。ミキモトさんについて、問題のない範囲でお話ししてまいります。本来、部外者の私が口を出すことではないのですが、本タイトルの冒頭で「ミキモトを買う気があって、予算面でOKな人はミキモトを買いましょう」と書いた手前、そう思う理由までは書けないにしても、少し触れておくべきだと思いました。では、はじめさせていただきます。
なぜミキモトには花珠真珠がないのか?
実はこれ、意外に多くいただく質問なのですが、簡単に説明するなら「ジーパンを買おうとしている人がリーバイスの直営店舗に出向き、ユニクロジーンズは置いてないのか?」と疑問に感じている状況とほぼ同じことです。誤解のないようにお願いいたしますが、どちらが優れているとかのお話ではなく、立ち位置の違いを言っております。時系列で見ると、ミキモトは今日の養殖真珠のありようを形作った先駆者であって、ミキモトが描いたビジネスモデルを軸として、いろんな層の消費者と後発同業者によって真珠業界が成長していく中で「花珠真珠というキャンペーン」が立ち上がり、盛り上がったわけです。人々が日常生活でジーパンをはくという文化が根付いたからこそユニクロジーンズが存在しているわけで、真珠を身に着ける文化が広まったからこそ花珠真珠というキャンペーンが存在したわけです。花珠真珠キャンペーンが誕生するずっと前からミキモトには自分たちがやるべきこと、進むべき道や理想がはっきりしていて、目指すのは自己実現というポジションにいるので、他人が始めたキャンペーンをフォローすることはないと思います。ミキモトに花珠真珠がない理由、おわかりいただけましたでしょうか?
ご参考)花珠真珠って何?キャンペーンってどゆこと?と思われた方、こちらもどうぞ♪
ミキモト製品は高いのか?
これもよく言われます。どう評価するかは個人の自由だと思いますので、人それぞれに違った答えがあるのでしょう。ミキモトといえば世界中で多くの人に知られていて、アメリカでは養殖真珠のことをミキモトと言われていたりします。同業者として言えるのは、あれだけ原価が高い良質珠を使って、あれだけのビジネス規模で、あれだけの知名度があって、それであの価格設定は良心的だということです。歴史の違いがあるにしても欧州のハイブランドが販売するパールジュエリーに比べれば、使っている真珠の質は圧倒的にミキモトが上ですし、価格設定も全然違います。あまり知られていないことなので少し触れておきたいのですが、養殖現場の状況がよろしくないのはミキモトにとっても同じことで、でも彼らはそれを黙って見ているわけではなく改善のための研究に熱心に取り組んでいます。海にカーテンを引いてその中で養殖をしたり、牡蠣の養殖に詳しい方ならピンとくると思いますが、おそらくは一般消費者にとっては驚きとワクワクが同居するような壮大なことを公言せずにしれっと行っていたりします。フェラーリの車両価格の半分はレース活動を支援しているものと理解してくれと言ったとか言わないとか、ミキモトもそういったパフォーマンスを取り入れれば世間の評価も違ってくるのかもしれません。
今の状況、厳しいのはミキモトも同じ
ミキモトは自社養殖をしていますが、当然自社だけですべての材料を賄うことはできませんので、養殖業者さんから浜揚げ珠を仕入れますし、加工会社さんから半製品を仕入れます。よって、ミキモトといえども今の材料不足は我々と等しく困った問題です。ミキモトのネット通販サイトにアクセスしていただくと、材料不足に困っていることがわかる商品が並んでいます。特殊なサイズの連のネックレスです。もちろんネックレスをバラいて真珠を個の単位で見れば一つ一つはミキモトクオリティで良質だろうことは想像できるのですが、とはいえ特殊なサイズだからこその安価設定がされています。勝手な想像ですが、材料不足で知恵を絞った結果のイレギュラー商品という遠慮からイレギュラーな価格設定をしてイレギュラーの理由づけをしているように見えます。ミキモトの連のネックレスが手に取りやすい価格で販売されているとなれば、興味を持つ方は一定数いらっしゃると思います。が、私個人はこれに否定的です。普段使いのアクセサリーとしてお求めになるなら良いと思いますが、一生モノの「私のフォーマルパール」としてイレギュラーを選ぶことは、ちょっとないかなと思います。先日お客様にこう説明したのですが、イレギュラーサイズのミキモトは、ポルシェの三輪車のようなもの。すべてのパーツがポルシェで、実際にポルシェで製造されていて、一級のスポーツカーの性能だけど、三輪車ですと。それを面白がる余裕として着用するのは楽しいでしょうけど、一家に一台の、これ一台ですべてをこなす乗用車として買いますか?そういう問題だということをおわかりいただきたいと思います。私が本タイトルの冒頭で「ミキモトを買う気があって、予算面でOKな人はミキモトを買いましょう」と書いたのはあくまでもレギュラーサイズの商品のことですので、誤解のございませんようよろしくお願いいたします。
ミキモトアウトレット?
検索している方が多いワードなので取り上げます。ミキモトにアウトレットはありません。強いて言うなら、上述のイレギュラーサイズが意味合いとしてアウトレットに当たるかなと思いますが、アウトレットを謳っているわけではありません。ミキモト製品を安く買う方法として「中古」が考えられますが、これはかなり危険な選択になりますので、まったくおすすめできません。おすすめできるできないのレベルではなくて、個人的に知人から相談を受けたら「絶対にやめておけ」と即答、二度押しするレベルです。理由は一つ「本当にミキモト製品か?を判断できない人が手を出すべきではない」からです。金具に刻印があり、ケースにロゴが印刷されていて、購入時の控えが揃っていたとしても、信用してはいけません。肝心の真珠は偽装できますので、お忘れなく。ただし、パールネックレスを目先の数回のイベントで着用するために必要で、そのために中古品を一回買って、使い終わったら売るというプランでお考えの方につきましては、購入時に「後日ミキモト製品として買い取りしてもらう」ことを確約してもらったうえで買うのは、今の時代ありなのかなと思ったりはします。
補足:レギュラーサイズ、イレギュラーサイズとは?
アコヤ真珠の連のネックレスのレギュラーサイズとは、8.0mm-8.5mmとか、8.5mm-9.0mmとか、ネックレスの中の最小の粒と最大の粒の差が0.5mm以内で組まれているものです。また、グラデーションネックレスにも何パターンかのレギュラーサイズがあります。メーカーによって組み方に若干の違いがありますが、明らかにセンター珠が大きく裾珠が小さいので、レギュラーではないことは一目瞭然です。レギュラーサイズとグラデーションとの中間的なものがイレギュラーになりますので、必ず確認するようにしてください。
さて、いかがだったでしょうか?スポーツカーメーカーがたくさん引用されてしまいましたが、私の趣味ということではありません。私どもの社用車は2012年に購入した国産の電気自動車で、今も元気に働いてくれていて満足しています。次回は最終章になると思いますが、私自身がここまでを読み返してみて、もらしてしまったことや、補足が必要と感じたことなどを書こうと思います。
よろしくお願いいたします。
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