真珠の通信販売でおこりやすい誤解や注意点について
ここで説明していること・イメージ画像に注意。写真の品が届くと書かれているものから選びましょう。・実物画像でも注意すべき点があります。 ・印象操作の例をいくつかご紹介します。 ・真珠業者のお店か、ジュエリーメーカーのお店か、ご自身にはどちらが合うか? ・量販型店舗か、こだわり型店舗かを見極めることで商品選びがスムースに。 ご興味をお持ちいただけましたら、以下へ読み進めてください。 |
1.はじめに
当店がいただいたお問い合わせの中から、多くの消費者の方々が誤解しておられることがらや、事前に注意すべき点がわかっていれば回避できたことなどを取り上げて解説させていただきます。
誤解が生じる原因は、お店側の印象操作であることが多いです。それらを指摘することで、本ページの一部に不健康な内容があり、不愉快に思われる方もいらっしゃると思いますが、状況が改善され、ご案内不要と思われる時がまいりましたら、その項目は随時削除いたします。また、その日が少しでも早く訪れることを望んでおりますこと、ご理解いただけましたら幸いです。
2.商品画像について整理してみましょう
写真で真珠を選ぶのは不安だとおっしゃる方は多いですが、商品写真について整理できるようになれば、かえって安心できる面もありますので、順に説明してまいります。
イメージ画像
同業者の目で見て「実際の商品とは無関係な写真」とすぐに察しがつく画像のことです。残念ながらとても多いです。商品ページを注意深く読んでいただくと、写真の品(または同等のもの)が届くとは一言も書かれておりませんので、「こういうかたちの真珠製品です」ということを伝えるためだけのものだと言えるでしょう。
サンプル画像
よく似た品が10点入荷しました。そのうちの一つを撮影し、商品ページをアップ。これがサンプル画像です。店側の立場では、理想的な販売方法ですが、「だいたいこんな感じ」を見せる画像のため、消費者の立場では多少の不安が残りますね。例えるなら、「新築ではない共同住宅で、入居できるのは301号室だけど、305号室の写真で検討する」ような感じです。
実物画像
一点ものの商品の場合、自ずと手元に届く品そのものの写真が掲載されています。店側の立場では、とても手間がかかる方法ですが、その手間賃を価格に含めることは現実的に難しく、安価な商品ではできない販売方法です。消費者側の立場では、画面上とはいえ、実物よりも大きなサイズで見ることができる場合もあるので、実店舗で実物を見るよりもキズや表面の状態がわかりやすいメリットがあります。注意すべきは、実物の画像だからといって「写真としてキレイ」なものばかり並んでいては意味がないことです。ネックレスの数粒だけにピントが合っていて、あとはボカシてあるような画像は、写真としてキレイですが、商品の状態を把握するという意味ではむしろイメージ画像の部類に入ると思います。
補足 真珠の写真映り特性について
同じ真珠でも、カメラアングルによってピンクやグリーンの干渉色の映りかたが違ってきます。ネックレスの場合、まっすぐ伸ばした状態を真上・真正面から撮影したものが一番地味ですが、素の表情が見られ、マイナスポイントがわかりやすいです。弧を描いた平置き状態のネックレスを、水平に近い低い位置から撮影するのが、最も干渉色が引き出され華やかな写真になります。また、写真が暗いほど干渉色が妖艶に映ることも覚えておきたいところです。
【重要】実物画像の商品を選ぶ際の注意点
実物画像と書かれていても鑑定書番号が伏せられている商品を目にすることがあります。伏せる理由はわかりませんが、その商品を検討するにあたっては、まず鑑定書番号を問い合わせてみましょう。できればその際にわかりやすいキズやゆがみ、その粒の位置など、届いた時に確認できる特徴を訊いてみましょう。
【重要】イメージ画像販売商品のセールは要注意
昨日までと同じ商品画像、同じ販売ページなのに、今日突然「今だけ○割引」とセールが始まることがあると思います。さて、「昨日定価で注文した場合」と「今日セール価格で注文した場合」に、お手元に届く品は同等品でしょうか?
実物販売の一点ものでしたら大丈夫だと思いますが、イメージ画像やサンプル画像の場合は、普段のものとは違う セール用に用意した品が送られてくるかもしれませんので、よく考えてから決めた方が良いと思います。
3.印象操作について整理してみましょう
消費者が誤解しがちなことはある程度限られますが、それゆえ「誤解を解くより乗っかってしまえ!」と考えるお店が多いのは残念なことです。最終的には消費者ご自身の判断になりますので、私どもが口を挟むべき問題ではないかもしれませんが、知っていただいて損はない「世間に多くある印象操作」を幾つかご紹介させていただきますので、参考になれば幸いです。
花珠について
今では「花珠」は品質を示すものではなくなり、「花珠と書かれた鑑定書がついている品」へと変化しました。様々な民営企業がそれぞれの基準で花珠鑑定書を発行していますから、共通の基準はありません。「花珠=高品質」「鑑定書つき=安心」といった消費者感情を利用した販売手法の品をつかまされない予防方法は簡単です。「花珠=高品質」「鑑定書つき=安心」と声高に謳われた品を選ばないことです。
まき厚測定値について
要注意の「薄まき」(目安として0.25mm以下)でないことの確認用数値だとお考えください。第一ハードル「薄まきではない」をクリアしたら、第二ハードルは「まきの質感」です。ここを間違って「何ミリ巻いてるか」方面に行ってしまうとコースアウトです。その先には間違った人に向けられた商品が待ち受けています。真珠層はどれだけ厚く巻いていても、濁ったものでは高評価にはなりません。また、ネックレスの数値が0.5mmだった場合、全ての粒が0.5mmで統一されているわけではありません。数字は目に見えてわかりやすいので、そこに関心が向いてしまうのはわかりますが、この数値にこだわるのは選択肢を狭くしてしまうことでもあるので、もったいないと思います。
卸商、小売商について
通販では卸商を名乗るお店や、組合を名乗るお店までありますが、消費者の皆様に商品を購入していただく行為は「小売」です。卸商、組合といった言葉から消費者が期待するだろう位置に自らを置く、印象操作です。
安さの理由としてよく言われる「中間マージン」は過去の話。今では専門店である限り「中間マージン」はなくて普通です。
「卸商=たくさんある中から選べる」については、目利きができて、それを楽しめる人には良いと思います。一般に消費者は見れば見るほどわからなくなるものですから、もしあなたが「同じタイプ、同じ値段なら、その中で一番の品が欲しい」とお考えなら、在庫量は無視していただいて良いでしょう。また、商品知識の豊富さを期待するなら、数社に電話して同じ内容でお話をしてみると良いでしょう。
信頼、老舗、プロ
お店選びは大切なポイントだと思います。真珠専門店にも安心できないお店はたくさんありますので、簡単な見極め方を一つご紹介します。信頼、老舗、プロといった、本来消費者が評価、判断すべきことを、自らが語っているなら、それは「印象操作をする店」と思っていただいて良いでしょう。
花珠級、花珠に匹敵、花珠落ち
先に書きましたが、花珠鑑定書がついていれば花珠真珠、ついていなければ花珠真珠ではない、ただそれだけのことです。級、匹敵、落ち等の、花珠に近い位置にあるように想像させる表現は完全に印象操作です。誠に無意味です。
広告について
広告はお客様の目に触れて、ご来店(アクセス)いただくためのツールですので、表現が大きめになりやすいところがあります。当然、ここでも印象操作が行われ、アイキャッチのための高度な手法が仕組まれたものがあります。
また、ネット広告は、おそらくは皆様がご想像されるよりずっと高額ですので、どれだけ商品の安さをアピールしても、目立つ広告を配信している時点で、まゆつばだと言えるかもしれませんね。
4.会社の業態を確認しましょう
真珠製品の通販では、真珠業者はもちろんですが、ジュエリーメーカーさんが販売している場合もあります。
会社名で検索していただければ、その会社のウエブサイトが見つかると思いますので確認してみましょう。
どちらが良いとは申しませんが、両者では根本的な考え方が違います。真珠業者は真珠を販売することを目的とし、ジュエリーメーカーさんは金具を販売することが目的となります。真珠を売るために金具を取りつけるのが真珠業者で、金具を売るために真珠を取りつけるのがジュエリーメーカーさんです。
何を重視するかで評価が違ってくると思いますので、両者が混在していることだけ覚えておいていただいて最終的にはご自身でご判断いただければと良いと思います。
また、量をさばくことを目的とするお店と、質にこだわるお店があり、両立はあり得ません。ご興味を持ったお店がどちらに当たるのかを最初にご判断いただくと品選びがスムースになると思います。
5.問い合わせの重要性について
真珠製品の通販では、業者が必要のない嘘をつく場面が見られます。
一例を挙げますと、テレビ通販で養殖場に真珠を買い付けに行くシーンをご覧になった方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。実際には、販売業者は加工業者(メーカー)から仕入れているので、養殖場との取引は(ほぼ)ありません。消費者に対して仕入れに力を入れていることを伝えたいのであれば「大手メーカーに限定して仕入れています」という説明で充分だと思います。
私の親戚には2軒養殖業を営む家がありますが、私が養殖場にお邪魔することはありません。そもそも昨今の養殖現場で真珠を母貝から取り出す(浜揚げ)のは一年に一回(12月はじめ)です。それ以外の時期に訪問しても真珠は母貝の胎内にあるので、見ることはできません。また、浜揚げの時期には養殖屋さんは時間に追われて忙しくしているので、仕入れ目的のアポイントどころか、ちょっと立ち寄るにも躊躇します。そして、入札会が終わり、自宅に若干の残り珠が保管されていたとしても、言い換えれば入札会で買い手がつかなかった珠ですから、それをわざわざ買いに行くというのは、考えられません。仮に、養殖屋さんから買い付けたところで、それは生珠です。商品化するには加工が必要になり、結局加工業者さんに加工を依頼することになり、二度手間でしかありません。
スペースの関係上、例を挙げるのはこれだけにしておきますが、私からお伝えできることは、どのお店にも電話やメールで連絡が取れるようになっているので、注文前に一度コンタクトを取ってみましょうということです。コンタクト前の印象と、コンタクト後の印象がマイナスの方向になった場合は、見送られることをオススメいたします。
6.総括します
ネット店舗は24時間休まずに働いてくれるセールスマンで、自動販売機のように商品が売れることを理想として参入される企業が多いです。よって、イメージ画像で商品ページを立ち上げ、売れ続ければレビューがたまり、時にはランキングに入り、相乗効果でまた売れる… これがお店側から見た理想形なのですが、真珠をこれに当てはめるには、もともと安いものを安く売るしかありません。
花珠の説明で三角形の頂点付近を色分けして「これが花珠」という説明を目にすることは多いですが、それだけ量の少ないものを自動販売機スタイルで数多く売るのは物理的に不可能です。自ら「これだけしかとれない希少な真珠です」と言いながら、中間マージンがかからない卸価格で、数の制限なく注文を受けているお店がたくさんあるわけですから、冷静に考えていただければおかしな話なのですが、これが主流になってしまっているのですよね。真珠は工業製品ではないので、年間の総量が決まっていて、出来上がった量の中で業界全体がやりくりする、特殊な商材です。売れているからといって、追加生産できるものではありません。このような商材を数多く売ろうとすると、数多くあるランクのものを売るしかありません。三角形を思い出してください。下に行くほど数があるので、ランクが下のもの(安いもの)であれば、この販売モデルに合わせられます。ただ、「もともと安いものを安く売ってます」ではお客様に興味を持ってもらえません。そこで利用されるのが「信頼性が不透明な花珠鑑定書」を筆頭とした印象操作になります。
本当は真珠専門業者であれば、自分の販売する真珠がどういったレベルのものか承知しています。仕入れをしてるわけですからね。でも、印象操作に頼らなければならないのは、お店にとって重要なのは啓蒙活動よりも販売して利益をあげることであって、従業員の生活など、守らなければならないものが多い企業ほど、販売に重きが置かれるのは仕方ないと考えるからだと思います。社会的にどちらが正しいかは、私にはわかりませんが、どのクラスの品であれ価格なりの品質を納得して消費者が自分にあった真珠をネットで買える時が来ることを望んでいます。