こんにちは。竹内です。
バブル崩壊後に誕生したお客様と商談をするときに、バブルのころの私たち世代の暮らしぶりについて話題にされることがあります。勝手な想像ですが、私たち世代がその当時の話をすると大抵じょう舌になるので、コミュニケーション術として使っていて、実はバブルの話が聞きたいわけではなくて、緊張関係をほぐす等の気遣いじゃないかな?と思ったりします。繰り返しますが、あくまでも私の勝手な想像です。本当に当時の話を聞くのが好きな人に対しては、間違った考察で申し訳ございません。
私たち世代の多くの人は不勉強なまま社会に出て、不勉強なままそこそこの暮らしをしてきているので、バブルについてたいしたことを話せるわけではありません。たいてい浮かれてた系の話に終始するかと思います。
せっかく若い方が気を遣ってくれているのに、あっしー、めっしー、ジュリアナ、お札でタクシーみたいな話でいいのか?という気持ちがあり、一度バブルの背景について不勉強な私なりの話をさせていただいたことがありました。結果、その方が喜んでいただけた気がして、以降はそうしています。
私と同世代の方の参考になればと思い、私も勉強しながらこの記事を書こうと思います。ただ、詳しく知ろうと思えば自分で検索していくらでも情報が手に入る世の中ですから、また、詳しく話そうとすると長くなって「コミュニケーションの逆効果」になってしまうので、ざっくりがいいような気がします。
アメリカの貿易赤字のうち、対日の比率が1981年に約7割となって、これは無視できないということになりました。自動車の輸出は誰もが知るところですが、当時の日本は世界中の人々の暮らしを変えるような製品を生み出し輸出していました。例えばソニーのウォークマン、任天堂のファミコンなどですね。
日本が貿易で強い要因の一つとして、円が過小評価されすぎという見方もありました。(1981年の年平均レートでは1ドル=約220.5円、1984年は1ドル=約237.5円。今は円安だと騒がれていますが、それでも約143円程度。)
アメリカの財政赤字と貿易赤字により、ドルの価値が揺らぎ、世界経済の懸念要因になるとのことで、1985年9月22日G5による会議が開かれ、為替相場のドル安誘導で一致し、声明文が発表されました。プラザ合意ですね。合意発表から、日本円は強く円高に動き、1986年7月には150円台になりました。
余談:これがきっかけとなって、大学生でもバイトでためたお金で海外旅行に行けるようになり、海外のブランド品にも手が届くようになりました。それまではハワイ旅行なんてテレビ番組の優勝賞品でした。賞金100万円か、ハワイ旅行かみたいな感じでした。
かつて経験したことのない円高になったことで、景気刺激のため日本銀行は公定歩合を引き下げました。「金利を下げるから企業は借入をして設備投資して、経営効率化して、今後に備えてね」と言うとわかりやすいでしょうか。
で、企業は新しく工場を建てよう、社屋を建てよう、あれしよう、これしよう、そのためにまず土地を買おうとなるわけですよね。で、土地の価格がメキメキと上がり、「あれ?工場建てて商売しなくても、買った土地を売れば充分儲かるんじゃね?」となりました。また、土地を買って持っているだけで地価の上昇によって会社の資産額が増え、バランスシート上では会社が成長している風に見えました。「土地の価格は絶対に下がらない」という土地神話が生まれ、土地が必要なわけでもないのに借金して土地を買う流れが加速しました。また借り入れた資金を株式に投資する流れも加速しました。その背景には土地を所有している企業は安泰だとの見方もあったと思います。バブル到来です。
余談:なぜそれが浮かれた状態になるのか?わかりにくいかもしれませんので、例を挙げてみます。仮に7000万円で買った土地の価値が1億円になった人がいたとします。1億円で売却すれば3000万円の粗利益が確定するわけですが、土地神話によって、今は1億円だけどまだまだ高騰すると信じているわけです。3000万円の含み益という状態ですが、自分には最低3000万円がある、さらに大きくなると信じているので、そりゃお金使いますよね。そうやってお金を使う人がたくさんいれば、さらに好景気に作用するわけです。バブル後の人たちは地価は下がることを知っているのでピンと来ないかもしれませんが、「土地の価格が下がることはない」と本気で信じていたことが、そういった行動やのちの悲劇を生むこととなったんだと思います。
景気刺激のために日銀は公定歩合を引き下げましたが、景気が良くなって、目的を達成したわけですから、次は公定歩合の引き上げです。利上げですね。また、1990年当時の大蔵省が不動産融資を規制したことに始まり、土地投機に融資がつかなくなったため、売買が成立しなくなり、土地の投げ売りが始まりました。地価の下落に伴い、株価も暴落、長期にわたる景気低迷の時代に突入しました。バブル崩壊です。
この程度のざっくりした話だと、数分で話せるし、なにか相手方が気になるワードがあれば自分で調べればいいし、あっしー、めっしーの話よりよっぽど喜ばれるのではないかと思います。
私自身、政治に興味がなく、世界情勢がどうなっているのかも知らず、ある日突然バブル崩壊だと耳にするようになり、「へぇー、そうなんだ」と思った程度で、バブルが何に始まり、なぜ終わったのか、全く知らないまま社会人になりました。別に知らなくても自分の暮らしに影響はなかったので、「バブルは崩壊した」という8文字だけの知識で終わっていました。「そういえばバブルって何だったんだろ?」と勉強したのは、自分で会社を立ち上げた後のことでした。もうちょっと頭が柔らかいときに勉強しておくべきだったと反省しましたが、なにしろインターネット前の若者は何か知りたいことがあっても、近くに教えてくれる大人がいた人はいいですが、自分で調べるとなると図書館に行くとか、とても面倒な世の中だったので、明日やろう、今度でいいやが体に染みついていて、そのうち忘れてしまうのが常でした。
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