こんにちは。竹内です。
1.まえおき
下の記事2本を踏まえて、今日の記事を書きますが、今日の記事だけ読んでいただいても筋が通るようにしたいと思います。今日の記事でご不明な点がありましたら、これらの記事に目を通していただければと思います。
■鑑定書に支払う付加価値料が現在とても高額になっていることを開示いたしました。
参照:花珠鑑定書について再確認しましょう 第4章
■現在の鑑定書の納期についてご案内しました。
参照:鑑定書新規発行の納期について
2.記事の本編
弊店が直近で鑑定書発行依頼をしたのが7月18日で、その仕上がり予定日が8月28日です。5月からこの状態が続いています。
これが真珠製品の販売価格にどれだけ大きな影響を与えるか?について解説したいと思います。
本来、鑑定書発行に要する時間は中2日です。月曜日に依頼すれば木曜日の夕方にできあがります。間に週末や祝祭日をはさんでも10日みておけば充分です。10日でできていたことが40日かかるというのは、世間的には「手に負えない状況になっている」のだと思いますが、いかがでしょうか。これは本当に良くないことなので、人手が足りないのであれば業界総出で手伝いをして、一日も早く本来のスケジュールで運営できるようにすべきだと考えます。私もお声がけいただければ全然手伝いに行きます。絶対にこのまま放置してはいけない問題だからです。
鑑定書を取得するためのチェックにも日数がかかるわけですが、話を複雑にするだけなので、ここではチェック部分は割愛させていただきます。
花珠鑑定書の取得に時間がかかるということは、私たち業者が商品を仕入れてから店頭に並べられるようになるまで想定以上の時間がかかるということです。仕入から10日後に販売がスタートできるのと、40日後にスタートするのとでは、その差は大きすぎます。仕入に数百万円の資金を投じたとして、その数百万円をどうやっても回収できない時間が10日間なのか、40日間なのかの違いといえば伝わりやすいでしょうか。
今日の販売店の実情としては、10日さえも我慢しがたく、自分で鑑定書を取得する道を捨て、仕入後すぐに販売できるよう加工会社さんから鑑定書取得済み製品を仕入れるのが主流になっています。自分たちで動いた方がコストは安くあがりますが、手数料で時間を買う方を選ぶ業者がほとんどです。
よって、この鑑定書40日問題の影響を直接受けるのは加工会社さんたちと、弊店のような一部の販売店になります。時間がかかるということは手数料を多くいただかないと勘定が合わなくなるので、結局卸価格が上昇し、これを仕入れた販売店の店頭に並ぶ商品も販売価格が上昇します。
「それは真珠業界の都合だから価格を上げる(消費者に転嫁する)のはおかしいだろ?」と思われるかもしれません。お気持ちはわかりますが、なぜ手数料を上げないと勘定が合わなくなるのか?を説明します。
視点1:わかりやすい例として、仕入資金を銀行融資で賄ったとします。40日間販売できないからといって、その間の金利をなしにしてもらえるわけではありません。そして、40日間販売できないのは店舗側の販売力不足ではなく、物理的に不可能なわけですから、仕方ないではすませられません。
視点2:40日間会社を閉めるわけにはいきませんし、社員に休んでもらうわけにもいきません。家賃も光熱費も普通にかかります。極端な例がわかりやすいと思いますが、売るものがない、仕事がない、でも固定費はかかるという状況に陥ったとき、その固定費は待たされている商品の準備コストとして価格に算入されなければなりません。10日分は通常のコストとして各事業者の価格設定ルールに盛り込まれているはずですが、30日分のイレギュラーが発生しているわけですから、そのイレギュラー分を追加算入するという意味です。
視点3:自己資金で仕入ができる場合、真珠を仕入れて売るよりももっと手堅く手間をかけずにお金を増やす手段があるなら、そっちの方が良くない?と考えるのは当然のことです。例えば、この記事を書いている時点で米国債の金利は2年物が4.75%です。資金を投じて事業をするからにはこれよりもずっと大きな利益率と、社会的意義が必要です。「仕方ない、消費者のせいではない」と価格を上げられずにいると、利益率が想定を下回り、どんどん「やらないほうがまし」な現実を突き付けられることになります。
というわけで、「真珠業界の都合を押し付けるな」と叱られればその通りなのですが、そのお言葉を正面から受け止めると私たち販売店はどこも鑑定書を取り扱わなくなります。勘定が合わないとはそういうことだと思います。
追記:飲食店さん、スーパー等の「週に数回来店するリピーター客」が多い事業者さんにとって、価格を上げるのが難しいことは充分に理解しているつもりです。ここでは真珠業者が販売価格とどう向き合っていくかについて書いていて、価格を上げにくい業種の方々に向けて意見しているわけではありませんので、ご理解いただけますようよろしくお願いいたします。
今回の記事は、わざわざ言わなくても良いことかもしれませんが、少なくともこの記事がきっかけで「花珠鑑定書って思っていたのと違う」と感じる人がいらっしゃったなら、さらに深掘りしていただいて、正しい知識を身につけたうえでご自身でご判断いただければという気持ちです。
ご参考:花珠鑑定書に関する最新の情報はこちらです。かつてなく、どこの誰よりも詳しく解説しています。
→ 2023年 花珠鑑定書について再確認しましょう
さて、みなさま
弊店は花珠鑑定書推奨派ですが、今は一旦距離を置くべきという考えです。皆様はどうお考えでしょうか?
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