こんにちは。竹内です。
直近で「真珠に関する豆知識」に新コンテンツ2本アップロードしました。
1.花珠検査のリアル
2.【決定版】花珠?天女?あなたはどっち?
以前より中長期的な目線でこういったご案内が必要になると考えていましたが、想定していた以上のスピードで時代の変化がはじまっていて、時期を前倒ししてアップロードしました。
インターネットの普及と比例して、真珠製品には鑑定書が付属するものといった風潮が世間に浸透していきました。その間にメジャーな鑑定書はリニューアルを行い、マイナーな鑑定書も多数登場し、消費者も業者も鑑定書に依存することになりました。
2019年、真珠養殖に使用する母貝(アコヤガイ)の稚貝が大量死したことで、時代が変わる予備スイッチが入りました。そして、2020年にコロナウイルスで本スイッチが入り、時代の変化が訪れました。
その結果、弊店が直面したのが「花珠検査のリアル」です。どれだけの品不足になろうとも合格基準は順守するということなら、真珠科学研究所の姿勢は尊重すべきだと思います。
ですが、これでは商売になりません。47個のうち、14個は自分の判断で検査を受けませんでしたが、23個が不合格、10個が花珠合格(うち2個が天女合格見込み)という状況で、消費者のほとんどが鑑定書がつかないものに興味がないなら、37個がいつ売れるかわからない不良在庫となります。47個分の仕入代金を10個で回収するのは付加価値の範疇を超えてしまいますし、10個販売するために毎度37個の不良在庫を増やしていてはビジネスとして成立しません。つまり鑑定書つきビジネスは破綻したと思います。販売店は皆この状況に気づいているはずですが、競争があり、今はまだ根性論で鑑定書を取得しています。弊店も然りです。
では、ここからは消費者目線で新しい時代にどのように対応すべきかを考えます。
1.鑑定書つきを選ぶなら、それ相当の付加価値を受け入れることになる
そもそも鑑定書自体無料配布されているものではありませんし、鑑定書を取るための真珠の移動に必要な資材代、運送料や、それを手配する人件費、時間が発生しています。これまでも当然価格に反映されていたわけですが、品不足でより手間暇がかかるようになっていて、合格率がはっきり低下しているので、今後ますます高額の付加価値が乗せられることになります。間違っても「お客様のためにがんばります!」といった根性論をそのまま受け取らないよう気をつけたいです。
2.にせものが流通することを意識しておく
模造真珠を本真珠だと偽るのは過去のことで、もうその心配はありませんが、鑑定書と現物が一致しない、鑑定書に信憑性がないといった類のにせものが出回ることを意識しておくのは大切なことだと思います。
3.鑑定書の合格基準が下げられても鑑定書が必要か?考えてみる
私たちが鑑定書をあきらめたとき、鑑定機関も成り立たなくなります。鑑定機関と書くとなんとなく公的機関のような感じがしますが、すべて民間企業です。鑑定書を発行することで利益を得ています。発行部数が激減したとき、基準を緩くして発行部数の落ち込みを減らすという選択肢は当然出てくるものと思います。今よりも緩い基準で発行された鑑定書でもあった方がよいと考えるか、無意味だと考えるか、ご自身の考えをまとめておくのも良いのではないでしょうか。
4.真珠は国際価格になってしまったことを意識しておく
日本は超デフレ、なんでも安いです。真珠製品もむちゃくちゃ安いものが販売されています。実際はもともと安いものがそれなりの価格で売られているだけなので要注意です。品不足が続き、中国マーケットの強い購買力が価格を押し上げ、つまり真珠は国際取引がメインステージとなっていて、国際価格となっています。私たち日本人にとっては相当高額な買い物になるべきものということを理解しておきたいです。
5.鑑定書つきを条件にするのは選択肢を狭くすること
「花珠検査のリアル」を例にすると、鑑定書なしは37/47(約78.75%)、オーロラ花珠鑑定書つきは8/47(約17%)、オーロラ天女鑑定書つきは2/47(約4.25%)です。色や個性の希望がある場合、17%や4.25%の中から探すのは物理的に無理があります。本当は白い真珠を探し始めたのに、天女の存在を知って妄想が先走り鑑定書を優先してしまうと、赤い中からなるべく薄い赤を選ぶようなことになってしまいます。こういった迷いはこれまでもよくあったことですが、今までなら時間をかけて探し続けていれば出会いがあったかもしれません。ですが、今のような合格率では今後は期待薄です。
鑑定書で真珠を選ぶ時代は終わった。これからは私に似合う、私のための真珠選びをする時代だと考えを切り替えていく方がハッピーになれる気がします。
まだまだお伝えしたいことはたくさんありますが、今のところはこのくらいにさせていただいて、時代の流れを見ながらその都度解説していきたいと思います。
ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
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