こんにちは。竹内です。
楽天市場で 3,980円以上のお買い物はすべて送料無料になる方向だということはご存知の方も多いことでしょう。正確には以下のようにアナウンスされています。
2020年3月18日(水)より、共通の送料無料ライン導入を予定しています。
注文金額税込み3,980円(沖縄・離島宛は税込9,800円)以上の場合、「送料無料」となります。
これ、私たちテナントに向けてのアナウンスなのです。お願いされた覚えはないのですが、「なります」ということなので、最初は、楽天さんが負担してくれるのかと思いました。
1)一部の店舗が怒っているが…
不満を訴える店舗の言い分は、「送料を店舗が負担すると赤字になる」「売れば売るほど赤字が膨らむ」ですが、そんなことはありません。「どうしてこれまでお客様に請求していた送料を急に貴店が負担することになるのですか?」と問いたいです。楽天は「送料込みの金額で販売してくれ」と言っているだけで「店が負担しろ」とは言っていません。消費者だって今まで自分が負担していた送料を「これからは店が負担しろ」だなんて思うはずもありませんし、なぜ「自店が負担することになる」という発想になるのか、理解できませんし、その言い分では楽天に勝てるとは思えません。
結論:今後しばらく楽天市場は他モールと比べて商品の価格が高額になる。(私の予想)
他モールより高くても楽天市場を使うという人向けのモールになっていくと思いますので、使わなくなる人、他モールに目を向ける人が出てくるだけで、どなたかの暮らしの困りごとになるような話ではありません。実際に送料無料がはじまってしまえば、報道もされなくなることでしょう。
弊店ではオープン時から全商品、全国送料無料でやっておりますので、今回の問題は全く関係ありません。関係ない立場だからこそ言えることがあると思いますので、 前置きは以上にして、ここから消費者のみなさまのためになるお話を書かせていただこうと思います。
2)これは送料の問題ではない
これまで、4,000円の商品、送料600円で販売していたものを「送料無料にしなさい」と言われれば、4,600円で販売します。そう考えると、消費者が支払う金額は変わりませんし、店舗にも特に不都合はないように感じます。ですが、実際はこういう仕組みです。
消費者:結局値上げになる。
楽天:これまでより儲けが増える。
店舗:これまでより楽天に引かれる手数料が増える。
最近、楽天市場では家賃のみならず、売上からも手数料を引かれる(ロイヤリティ)ことが、マスコミでもさらっと言われるようになりました。今のところ、具体的な数値までは公表されていないので、私もそこまでは書きませんが、楽天市場の手数料は飛びぬけて高額です。
フリマアプリで私物を販売した経験がある方ならおわかりだと思いますが、どのアプリ(会社)を使うかによって、引かれる手数料が違いますね。それと同じで、楽天市場の手数料はとても高額です。
では、大事なこと言いますよ。手数料は売上金額に対して課せられるので、先述の例でいいますと、こうなります。
現状:売上金4,000円に対して手数料がかかる。
今後:売上金4,600円に対して手数料がかかる。
つまり、送料を込みにすることで、送料まで手数料の対象となるわけです。これまでもクレジットカードの手数料においては同じことが起こっていたわけですが、話が複雑になるので ここで触れるのはやめておきます。
3)消費者の負担が増え、楽天の利益が増えることになる
送料にも手数料がかかるのであれば、4,000円+600円=4,600円という単純な計算では商売が合わなくなります。よって、「じゃあ今後は4,800円(仮)で販売します」となります。消費者の負担増は明らかですが、店舗の利益が増えたわけではありません。そして、楽天はこれまで4,000円に対しての手数料だったものが、4,800円に対しての手数料に増えるわけで、結局誰のためなの?という疑問がわいてくるわけです。
これまで一方的な通達で私たちテナントを苦しめてきた楽天ですが、ここにきてさすがにやりすぎ感を覚えたのか、矛先を消費者に向けたと私は理解しています。
4)カモフラージュ
楽天は「送料がわかりにくい」という消費者の声をうけて云々… と説明しております。ですが、消費者が求めてるのはそういうことではないと思います。私も一消費者として楽天市場を利用しますが、そこじゃないと思っています。
「あ、これ安い!」と思って商品ページを確認すると、送料がどう考えても正規料金よりずっと高額に設定されていて、結局それなりの値段になる… そういったセコイやり方のお店があることに対して不満を感じるのです。
楽天はそういう店舗をきちんと指導してくれれば良いわけで、自分たちでもわかっているはずなのですが、儲からないことに労力は使いません。いつものことですが、何らかの問題を利用して、それを解決するように見せかけて、実は自分達がより儲かるように仕組みを変えてやろうと考えるのが楽天さん。
一般に楽天送料問題といわれていますが、余計な情報をとっぱらって、シンプルに誰が得をするのか考えると、結局は楽天さんです。お客様がとか、アマゾンがとか、それらしい理屈を並べて、みんなの関心を分散させることで核心をぼんやりさせる作戦ですね。いつもそういうやりかたですもんね。
今回の送料の件では、不満に思う店舗が団結して反対運動をしています。どう着地するかはわかりませんが、まずは「不満があれば声を上げる」のは正しい在り方だと思います。これまで私たちテナントは、声のあげ方がわからず、ずいぶん好き勝手にやられ続けてきました。これからはほどほどの対立と緊張感をもってやっていけたらいいですね。
5)ジャッジを下すのは消費者です
楽天としては、気に入らない店舗は出て行ってもらって構いませんという考えなのでしょうけど、高額な家賃をまとめて前払いで徴収されるシステムで、出ていっても返金はないわけですから、私たちは簡単には抜けられません。そして、雇われ店長さんなら、撤退判断の権限がないばかりか、与えられた場所で結果を出さなければならないので、こういったことになると辛いお立場でしょう。「気に入らないからやめてやるー!」と言える店舗は限られます。
楽天が自社中心に考え、テナントも自社中心に考えれば、当然対立が生まれます。その対立では誰も得をしません。両者が共有できる思想は、お客様に愛されるモールづくりしかないと思いますので、これを価値基準として共に頑張れないものでしょうかね。
送料無料の件は和解がないまま、スタートしてしまうことでしょう。また、公正取引委員会も注意程度のあいまいなところで「対応はしました」で終わる気がします。
ですが、先にも書きましたが、この問題をジャッジできるのは消費者だけです。消費者には楽天市場を使わないという選択肢があります。楽天市場に代わるネットモールもありますし、利用しているお店の自社サイトを使ってもよいですし、電話で注文して代引きで受け取ることもできますから、生活に不便が生じることはほぼありません。消費者が楽天を見放すことになれば、それが答えだし、消費者が楽天を支持すれば、それが答えです。
私たちテナントも楽天市場に執着する必要はありません。楽天依存が高まるほど経営が厳しくなることはこれまでの経験から皆わかっていますしね。冷静に考えれば技術力も低く、この先楽天市場はどう進化していくんだろう?とワクワクさせられるものもありません。パソコン時代からスマホ時代への切り替えがいまだに手探り状態、あきらめモード感が漂っているし、自立を考え始めるいいきっかけになるのではないでしょうか。
そして、最後に一消費者として声を上げたい「二個買ったらどうなるのー!?」
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